先週は、週前半高く、その後は戻り売りに押され、2万1,500~2万2,000円のレンジの動き

先週の予測

戻りを試す動きだが森友学園問題で国内政治の不安定がマイナス材料としました。

結果

週前半2万1,971円の高値をつけるものの、その後は森友学園問題で国会が空転したことや米国株式の一服で戻り売りに押され、2万1,555円の安値をつけました。週末は2万1,676円で、何とか25日移動平均線(16日時点2万1,670円)を上回り、2万1,500~2万2,000円のボックス圏の動きとなりました。

 12日(月)は、前週の米国株式が2月雇用統計を好感して3指標そろって大幅高となり、特にナスダックが高値更新しました。日経平均株価はハイテク株中心に買われ、一時+501円の2万1,971円をつけましたが、森友学園問題で上値を追えず+364円の2万1,824円で引けました。

 13日(火)は、前場はNYダウ安と森友学園問題を嫌気し、一時▲123円の2万1,700円まで下落するものの、後場には円高一服で半導体関連株が買われ+144円の2万1,968円で引けました。 14日(水)は前日の米国株式が3指標そろって反落したことや、時間外で米国株式先物が安くなっていたことも重しとなり、一時▲284円の2万1,684円となり、終値では、▲190円の2万1,777円と5日ぶり反落しました。 

 15日(木)は前日の米国市場が中国との貿易摩擦懸念から3指標とも続落となったことで売り先行となって▲221円の2万1,555円まで下げるものの、円相場は落ち着いていたことから後場になるとプラスに転換。+26円の2万1,803円の小反発となりました。 

 週末の16日(金)は、前日のNYダウの反発を受けて買い先行で始まるものの、+75円の2万1,879円をつけたあとは、マクマスター大統領補佐官の解任報道を受け、円相場が強含んだことでマイナスに一転。一時▲171円の2万1,632円まで下げて▲127円の2万1,676円で引けました。週末で売りが出やすいながら何とか25日移動平均線(16日時点2万1,670円)で持ちこたえました。

 16日(金)の米国市場は、通商摩擦が懸念され、マクマスター大統領補佐官の解任が報じられる中、経済指標は好調なものが多く株式相場は底堅い動きとなってNYダウは+72ドルの2万4,946ドルで引けました。シカゴの日経先物は▲25円の2万1,415円でした。

 

今週は、日米ともに政治的混乱がマイナス材料

今週の予測

 引き続き、日本と米国の政治動向をみながら不安定な相場展開が想定されます。米国では、経済指標は好調なものの、トランプ政権ではコーン国家経済会議議長、ティラーソン国務長官に続いて、マクマスター大統領補佐官の解任報道が続き、政権発足1年余りで異例の事態となっています。コーン議長の後任には、保守系のラリー・カドロー氏という保護主義守り人物が決まり。11月の中間選挙に向けて米国第一主義が強まり、関税政策も中国、EU(欧州連合)などと貿易摩擦の懸念が高まりそうです。

  一方で国内では森友学園問題が徐々に安倍政権を揺るがす状況になりつつあります。海外メディアは、安倍政権が終りに近づいているという論調が多くなっています。国内においては、安倍政権にかわる野党勢力がないため、それほどの緊張感はありませんが、世論調査で安倍政権支持が急落することになれば、自民党内部での次回総裁をめぐる対立が生まれてきます。

 今週は、20日にG20財務相・中央銀行総裁会議があるものの、麻生財務相は欠席。日本の政治が混乱していると海外投資家がみてしまうと、今年に入って7.8兆円売り越しして、そろそろ買い越しに転じる見方もありますが、それが難しくなります。まして、現在の円高基調が続けば2018年度は下方修正する企業もでてくることになり、米国株式が上昇しても、それほどのサポート材料にはならないかもしれません。米国の経済が好調なことから日米金利差拡大となって円安にふれてくるという見方もありますが、11月の中間選挙まではトランプ政権は基本的にドル安政策でしょうから、円安にも限界があります。当面は2万1,000~2万2,000円の中の上下動と考えておくところです。

 3月19日は、各新聞で森友学園問題の影響を受け、内閣支持率の急落が伝えられました。共同通信では、17日、18日実施の全国緊急電話世論調査によると前回より9.4%急落の38.7%、不支持は9.2%増の48.2%と逆転しました。これを受けて、日経平均は朝方は▲138円の2万1,537円で寄り付いて、一時▲309円の2万1,366円まで下げましたが、その後ETF(上場投資信託)買い期待もあり下げ渋るものの終値は▲195円の2万1,480円となりました。これだけの悪材料なのに終値ではしっかりしているのは安倍内閣と一体化している日銀のETF買いがあるとの見方が出ていました。また、安倍政権の支持率が急落しても、野党の支持が上がるわけでもなく、もし安倍政権が終わっても自民党の政権には変わりないことが安心感となっているのかもしれません。しかし、米国株式が下がればそうはいかないかもしれません。

(指標)日経平均

先週の予測

 貿易摩擦への過度の警戒感と北朝鮮の地政学的リスクが後退したことで、円高も一服しており戻りを試す動きを想定しました、ただし、森友学園問題で政治が混乱すれば上値は限定的としました。

結果

 週始めは前週末の米国株式の大幅高を受け、一時+501円の2万1,971円まで上昇し、13日(火)は2万1,968円となるものの、ここをピークに森友学園問題で国会が空転し、NYダウも戻りが弱いことから、週半ば以降は軟調な動きとなり、3月16日(金)は▲127円の2万1,676円で引けました。

今週の予想

 先週に引き続き、森友学園問題が相場を不安定にさせる可能性があります。森友学園問題は安倍政権への批判が広がりつつあり、海外のメディアでは安倍政権の終わりが近づいているような論調となっています。それが強まれば今年になって7.8兆円を売り越してきた海外投資家の買い越しへの転換が不透明で、相場は上値は期待できないということになります。まだ、2万1,000~2万2,000円のレンジ内の動きが想定されます。
img:20180319/20180319_nikkei.gif,日経平均

 

(指標)NYダウ

先週の予測

 追加輸入関税は同盟国への交渉余地を残したことや、米朝首脳会談を5月までに行うという意向から地政学的リスクが後退し、戻りを試す動きが続くとし、2月27日の2万5,800ドルをこえてくると再び最高値を目指すとしました。

結果

 週前半は貿易摩擦への懸念やティラーソン国務長官の更迭からトランプ政権への不透明感も高まり、NYダウは3日続落。その後は経済指標の好調さを受け、2日続伸し週末の3月16日(金)は+72ドルの2万4,946ドルで引けました。貿易摩擦の懸念に加えコーン国家経済会議委員長、ティラーソン国務長官、16日(金)はマクマスター大統領補佐官の解任報道とトランプ政権の不安定さが懸念材料となりました。

今週の予測

 経済指標の結果は良好なものの、トランプ政権の11月中間選挙までは、米国第一主義による保護主義への方向が強いため、中国やEUとの貿易摩擦が深まっていく懸念があります。特に今週はG20が20日のアルゼンチンで開催され、中国やEUなどからトランプ政権の関税政策が批判され、また、中国の報復措置への懸念も高まりそうです。チャートをみると、今年の高値1月26日の2万6,616ドル、安値2月9日の2万3,360ドルの真ん中付近の2万4,600~2万5,700ドルのボックス圏の中の動きとなっており、当面はこのレンジを中心とした動きとなりそうです。
img:20180319/20180319_nydow.gif,NYダウ

 

(指標)ドル/円

先週の予測

 北朝鮮の地政学的リスクは後退したことでのドル買い要因はあるものの、トランプ政権の追加輸入関税の保護主義的な通商政策への警戒感はあるため、ドル買い要因が強まらないとしました。

結果

 一時1ドル=107円台までドルが買われていたが、ペンシルバニア下院補欠選挙で民主党の勝利となったことで、11月中間選挙に向けて保護主義が高まる可能性からドルが一時105.60円まで下落しました。その後は好調な経済指標を受けてドルが106.38円まで買い戻され106.05円で引けました。

今週の予測

 トランプ政権が、11月中間選挙に向けて保護主義を強める中、今週は20日にアルゼンチンでG20が開催されますが、この中で中国やEUからの関税政策に対する批判や報復措置が出てくれば、ドルの上値は重くなります。20~21日のFOMC(米連邦公開市場委員会)では3月利上げは確定的とされていますが、その後の利上げのペースがどうなるのかに注目となります。利上げペースが強まるようだとドル買い要因となります。105~107.5円のレンジを想定。
img:201802319/20180319_kawase.gif,ドル/円