政策面はプラスも機械需要に不透明感、個別銘柄のファンダメンタルズを重視

 中国の国会に当たる全国人民代表大会(全人代)では、BOCIの予想通り、インフラ投資や「一帯一路」戦略を継続するとの政策方針が示された。また、国務院国有資産監督管理委員会(SASAC)は国有企業の時価総額を管理するとの新たな方針を表明した。全体的に見て、全人代が発したメッセージは工業セクターにプラス。ただ、製造業PMI(購買担当者景気指数)の下落や地下鉄プロジェクトの認可要件の厳格化などはマイナス材料であり、最近の大型貨物車や掘削機の販売減速も、その他設備の需要鈍化を示唆している。こうした中、BOCIはファンダメンタルズの悪化リスクが相対的に小さい銘柄に目を向け、中国建築国際(03311)や株洲中車時代電気(03898)を選好している。

 全人代のメッセージを見ると、鉄道、道路、水上交通、水源保護などの各分野で、インフラ投資の強化が続く見込み。中国鉄路総公司(CRC)は改めて、鉄道投資の縮小はないとし、2018~20年に年間平均300セットのEMU(動力分散式高速車両)調達を実施する方針を示した。これは中国中車(01766)、株洲中車時代電気にプラスとなる。

 SASACはH株の全流通化計画に加え、国有企業の時価総額を管理するとの方針を発表したが、これは一部企業に有利となる見込み。BOCIは特に、香港市場だけに上場している国有企業や大型国有グループの香港上場子会社に有利とみて、中国鉄路通信信号(03969)や株洲中車時代電気、中国機械設備工程(01829)、アビチャイナ(02357)、中国能源建設(03996)、中国建築国際への恩恵を予想している。

 一方、BOCIは過去半年にわたり、当局によるPPP(官民連携)プロジェクトの引き締めや不動産締め付けの継続、一部設備セクターの減速について報告してきたが、直近では2月の製造業PMIが50.3に後退(17年9月のピーク時は52.4)。掘削機や大型貨物車の販売状況も減速傾向を示している。BOCIは機械メーカーの業績が17年通期、18年6月中間期におおむね堅調を維持すると予想しながらも、短期的な再評価は期待しにくいとの見方。個別では海天国際(01882)やツガミの中国子会社・津上精密機床中国(01651)を有力視し、調整局面での買い増しが選択肢の一つになるとしている。

 国家発展改革委員会は地下鉄建設プロジェクトの認可要件を厳格化。すでに認可を取得した43都市のうち13都市が要件を満たせなくなったが、BOCIはプロジェクトが小規模だとして、直接的なマイナス影響は限定的との認識。ただ、中央の引き締め方針を受けて地方政府主導の開発事業が停滞した場合には、かなりの打撃になるとしている。

 建設銘柄の現在株価は18年予想PERで5~10倍にとどまるが、機械銘柄の同PERはそれよりやや高めの水準。BOCIは個々のファンダメンタルズに目を向け、中国建築国際、株洲中車時代電気、海天国際、津上精密機床中国、中国機械設備工程、中国能源建設などの株価の先行きに対して強気見通しを示している。