株式市場では度々、株価の割安性に注目が集まります。これは、株価が需給関係によって決まるからに他なりません。では、投資信託はどうでしょうか。投資信託の基準価額に「割安」または「割高」な水準というのは存在するのでしょうか。

投資信託の基準価額は需給では決まらない

投資信託の基準価額は、ファンドに組み入れられている株式や債券の時価総額を、保有者全体の口数で割ったものです。あくまで「口数あたりの時価総額」で、「価格」ではありません。このように、銘柄の需要と供給によって値段が上下する株価とはそもそもの性質が異なるため、基準価額の水準だけで、客観的にその投信が割安だ、割高だと判断することはできません。運用開始時の基準価額である1万円を大きく上回っていても優良なファンドは存在します。また、基準価額が数千円のファンドの中には、元本を削りながら分配を継続しているようなものも散見されます。

投信には投信の評価基準がある

株価の割安性を示す指標としては、PER(株価収益率=株価を1株あたりの利益で割ったもの)や、PBR(株価純資産倍率=株価を1株あたりの純資産額で割ったもの)がありますが、投資信託の評価ではこうした指標は使いません。投資信託では、取ったリスクに対してどれだけのリターンをあげたかを示す「シャープレシオ」や、ベンチマーク(運用の目安となる指数)のリターンをどれだけ上回ったかを示す「アルファ」などが多く用いられます。これらの数値は楽天証券ホームページ内、投資信託の銘柄詳細ページでもご確認いただけます。銘柄を選ぶ際の材料として参考にしてみても良いでしょう。

投資信託の評価で用いられる指標の例

指標 定義、算出方法
騰落率 ある一定の期間中にどの程度基準価額が値上がりしたかを表す。期中に支払われた分配金は再投資したものとして算出される。
シャープレシオ 取った1リスク単位に対してどれだけのリターンをあげることができたかを表す。リスク調整後リターンとも呼ばれ、数値が大きいほど運用効率が良いとされる。
標準偏差 リターンの散らばり度合いを示すリスク指標。数値が大きいほど基準価額のブレが上下に大きいことを意味し、「リスクが高い」と言われる。
アルファ ベンチマークとして掲げた指数を上回る運用成果のこと。数値が大きいほどアクティブリターンが大きく、ファンドマネジャーの運用力が高いとされる。
ベータ ベンチマークとして掲げた指数に対して何倍の値動きをするかを示した数値。数値が1に近いほどベンチマーク(市場平均)と同様の動きをすると見ることができる。

※投資信託協会ホームページ等の情報を基に楽天証券作成