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『仮想通貨』は、ハッキングなどによる通貨の流出やマネーロンダリングに悪用されるなどの問題がありますが、その先進的技術を応用すれば金融システムの効率性を高める潜在的な可能性を秘めています。世界各国では様々な規制の対象となるとともに、中央銀行(中銀)が実験も行っています。本シリーズ最終回の今回は、各国の規制や中銀による実験などがどのように進められているかを見ながら、『仮想通貨』の今後について考えます。
【ポイント1】各国の規制について
規制については、日本では諸外国と比べて、『仮想通貨』の利用に関しては前向きと見受けられます。17年4月施行の改正資金決済法に基づき、金融庁の審査を経て登録業者として認められた16社と、改正資金決済法の施行前から事業を営み、登録を申請中のみなし業者が、交換業務を行う事が可能です。
海外ではより規制をかけている国があります。中国では昨秋に、事実上『仮想通貨』の取引が禁止されました。
今年3月の主要20か国・地域(G20)財務省・中央銀行総裁会議では、フランスとドイツが国際的な規制案を提案する意向と報じられています。独仏の関心は、マネーロンダリング対策と言われています。
【ポイント2】中央銀行の実験的な取り組み状況
各国の中銀の取り組みの例として、スウェーデン中銀ではデジタル通貨で銀行券を代替し、広く一般に利用可能な『仮想通貨』を中銀が供給する実験を行っています。スウェーデンでは近年キャッシュレスが進んでいます。こうした中、中銀がデジタル通貨を発行することで、信用リスクのないデジタル通貨が広く一般に利用可能になります。
この他、カナダ、シンガポール、ドイツ等、複数の中銀が大口資金決済に分散型台帳技術を応用し利便性を一層高める実験を行っていたり、資金証券決済や貿易金融に応用するような実験に取り組んでいる中銀もあります。
【今後の展開】「通貨の三つの役割」を果たせる『仮想通貨』の誕生に期待
『仮想通貨』はその技術の応用によって金融システムがより効率的になる可能性があります。一方、現在の『仮想通貨』は価格変動が大きすぎたり、安全性や匿名性等の問題から、犯罪やマネーロンダリングに使われる可能性がある等、社会全体に役立っているか否かの観点では万人の賛同を得られる状況とは言い難いようです。
今後、更に技術が進み、安全性を高めた利用方法が開発されるとともに、通貨価値がそれほど変動せず、交換・決済手段、価値の尺度、価値の蓄積・保存といった、「通貨の三つの役割」を果たすことができる『仮想通貨』が現れることに期待したいと思います。
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