今回の格言
「強気相場は、悲観の中に生まれ、懐疑の中に育ち、楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えていく」
どんな格言?
みんなの意見に流されると、稼ぎそこなう
儲けやすいタイミングは?」――投資家なら、個人もプロも関係なく知りたいはず。そのひとつの答えが、今回の格言だ。
この格言は、アメリカの著名投資家・ジョン・テンプルトン氏の言葉とされる「Bull markets are born on pessimism, grow on skepticism, mature on optimism and die on euphoria.」の日本語訳だが、上昇相場を4つのステージにわけて解説していてわかりやすい。
具体的には、
- 市場が総悲観となった局面が、強気相場の出発点になりやすい
- 先行きに警戒感や疑い(懐疑)が残るうちは徐々に上昇(回復)を続ける
- 警戒感が薄れ楽観的になったころは、相場の天井圏が近い
- 市場が総強気や幸福感に浸っているときに、上昇相場が終わることが多い
といった流れだ。
つまり、今回のマンガのように、みんなが「あきらめモード」のときこそ、実は大きなチャンスが潜んでいる、というわけ。相場の上昇タイミングや収益ポイントは、みんなの気持ちや思惑と逆、もしくはズレることが多い。市場のセンチメント(=群集心理)に惑わされず、相場の“居場所”を冷静に観察することが大切、というのがこの格言の意味するところだ。
どう投資に生かす?
相場の「ステージ」を冷静につかめ
2015年夏以降の日本株市場は、海外要因で大幅下落を余儀なくされることが多かった。
たとえば、
- チャイナ・ショック(中国の景気鈍化、上海株の急落、人民元安)
- 米国株の下落(アメリカの景気後退懸念や原油相場低迷を受けた株価下落)
- 円高進行(ドル安・円高)
などだ。
ただ、これらの外部要因が徐々に改善・底入れの兆しをみせてきたことで、日経平均株価は下値を確認しながら株価を切り上げる動きに転じている。今回の格言に照らしてみると、「ステージ②」あたりだろうか。
中国経済や為替の先行きに不安は残っているが、多くの悪材料を織り込んだ下落相場は収束。底入れを経て「懐疑の中で育ちつつある」ように見える。
では、改めて投資チャンスはどこだったかを探ってみよう。2016年6月24日のブレグジット(英国民投票が「EU(欧州連合)離脱」を決めた)ショックのとき、日経平均は前日比1,286円下落した。このとき「リーマン・ショックの二の舞」と表現するマスメディアや市場関係者もいたが、あとで振り返ると、悲観的なショックに覆われたこの日が投資チャンスだったことがわかる。
そう、市場に弱気派や多くなった局面こそが投資のチャンスと言えるかもしれない。ではもうチャンスではないのか? 格言を例にすれば、市場が総強気となるまで(心配ごとがあるうち)が「花」と言えるかも。
こんな格言もある
「とり逃した経験」は次に生かせる!
今回の相場格言と似たものは他にもある。たとえば、アメリカには「Buy when there's blood in the streets.」という格言もある。訳すなら「街中に血が溢れるような総悲観こそ買い」といったところ。さらに、「Stocks climb a wall of worry.」(相場は心配の壁をよじ登る)という格言も。これらの格言からわかるのは、やはり「ピンチはチャンスであった」と同じように感じた経験がある人がたくさんいるということだ。
「ああ、あの場面がチャンスだったのか…もったいなかった」だけで終ってしまうと、次のチャンスも見逃してしまう。目の前の相場や報道、みんなの声ばかり気にしていてはダメ。いまの相場が大きなトレンドのどの辺にいるのか、まだチャンスはありそうか、そろそろ上昇局面が終りそうか、といった視点で見ていく必要がある。
「いまの相場がどのステージにいるのか?」――流れをつかむ、冷静さが大切だ。
今回のお作法
ショックの中にこそ、チャンスが隠れている。逃しても、次がある!
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