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『法人企業統計』は、国内企業約2万2,500社(うち金融・保険業以外は約1万9,100社)の財務諸表を集計した統計です。企業活動の実態を把握する目的で実施されている統計調査で、財務省から3カ月に1度発表されます。2017年10-12月期の全産業(金融・保険業除く)の設備投資は前年同期比+4.3%、売上高は同+5.9%となり、どちらも前期から伸び率が加速しました。

 

【ポイント1】設備投資は前年同期比+4.3%

5四半期連続の増加

 2017年10-12月期の『法人企業統計』によると、全産業(金融・保険業除く)の設備投資は、前年同期比+4.3%と5四半期連続のプラスとなりました。スマートフォン向けの半導体需要や工場の自動化関連が増加したことなどから、情報通信機械、電気機械などの伸びが寄与して製造業は同+6.5%となりました。非製造業は同+3.0%でした。

 国内総生産(GDP)の改定値を算出する基礎となり、注目度の高いソフトウエア除く全産業の設備投資額の季節調整後の前期比は+3.1%となりました。

 

【ポイント2】売上高は5四半期連続の増収

経常利益は伸び率鈍化

 

 全産業(金融・保険業除く)の売上高は、前年同期比+5.9%と、7-9月期の同+4.8%から伸び率が加速して5四半期連続の増収となりました。輸出の伸びが続いたことに加えて、前期に天候要因により低調だった内需が持ち直したことが寄与したとみられます。

 一方、経常利益は同+0.9%と、7-9月期の同+5.5%から伸び率は鈍化したものの、6四半期連続で増益となりました。中国を含むアジア向けを中心とした半導体製造装置や建設機械の輸出が好調だった生産用機械や、はん用機械、電気機械などが寄与しました。

 

【今後の展開】企業収益は設備投資や賃金に徐々に反映

 今回の『法人企業統計』の結果は、3月8日発表の10-12月期の実質GDP2次速報値に反映されます。設備投資項目は上方修正要因になるとみられ、成長率は第1次速報値から上方修正されるとみられます。

 企業収益は統計を比較できる1954年4-6月期以降で17年4-6月期に次ぐ過去2番目の高水準となっている一方、内部留保額も過去最高の水準にあります。人出不足対策など設備投資や賃金の上昇につながることが期待されます。