前日(3月2日)の市場概況

ドル/円:「貿易戦争、勝つのは簡単♫」ドル/円も簡単に安値更新

 週末のドル/円は、トランプ大統領の保護主義に対する懸念と日本の金利上昇の思惑で大幅下落。東京時間に106円を下抜けNY時間には105.24円まで売られて年初来高値を更新しました。終値は105.723円(前日比ー0.518円)。105円台で引けたのは2016年11月以来のことになります。(チャート1)

 鉄鋼とアルミに対する輸入関税を打ち出したトランプ大統領は、ツイッターで自ら「貿易戦争」という言葉を使い、「勝つのは簡単」と世界の貿易相手国に宣戦布告しました。怒り心頭の中国やEU(欧州連合)は報復関税を検討しているとのニュースもあり、貿易戦争の拡大を嫌気してマーケットはドル売りに動きました。

 ドル/円の下落に関しては、日銀総裁の発言も影響しました。金曜日の国会の所信聴取で黒田総裁は、「2019年度中に物価目標2%を達成できる」と発言。楽観的見通しを述べたにすぎなかったのですが、一部報道が「2019年から日銀が出口戦略を開始する」と伝えたことから、円買いが活発化。106円台取引されていたドル/円が2週間ぶりに105円台に突入するきっかけとなりました。

 

 

ユーロ/ドル:ドル下落の動きで買い戻し

 ドルの下落で最も恩恵を受けたのはユーロ/ドルで、1.2251ドルから1.2335ドルまで急上昇。先週はドイツの政治懸念やイタリア選挙の心配で売りが優勢だったのですが、その下落分のほぼ全てを取り戻しました。(チャート2)

 ドイツの最大野党SPD(社会民主党)は、週末の党大会でメルケル首相の与党との大連立を承認。昨年9月から続く政治空白状態にようやく終止符が打たれることになりました。親ユーロの大連立は、欧州に勢力を広げるアンチ・ユーロ的右派政権に対する防波堤の役割も果たすことになり、これもユーロにとってはポジティブな材料となっています。

 

 

ユーロ/円:安値更新後、反発

 ユーロ/円は、前半は円高の影響を色濃く受けて129.56円まで年初来安値を更新。その後はユーロ/ドルの上昇に連れて130円台を回復。130.37円まで上昇しました。(チャート3)