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 米国の連邦準備制度理事会(FRB)は、年に2回、金融政策に関する報告書を議会に提出し、併せて上院と下院で議長が証言を行います。2018年2月5日にFRB議長に就任したパウエル氏は、2月27日に下院の金融サービス委員会で、議長として初となる『議会証言』に臨み、景気と物価をともに重視するバランスのとれた政策を追求すると述べました。そのためには、「緩やかな利上げの継続が妥当」としています。

 

【ポイント1】経済は緩やかに拡大、物価と賃金上昇率は低水準で安定

財政出動もあり、景気見通しに自信を深める

 パウエル議長は、米国経済については、「景気は堅調に拡大、物価と賃金は低い水準で安定」と評価しました。先日、公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録の内容と、特に異なるところはありません。

 しかし、2017年12月開催のFOMC会合後に「税制改革法」、さらに18年1月のFOMC会合後に予算合意(財政支出の上限である予算権限の引き上げ)が成立したことを受けて、「財政政策がより刺激的になる」との評価が加わったことを踏まえると、景気見通しについては自信をより深めている可能性があります。

 

【ポイント2】緩やかな利上げが妥当

景気、物価の双方を重視

 

 質疑応答では、「私(パウエル議長)の経済見通しは17年12月以降改善した」と述べています。

 しかし、だからといって物価見通しを引き上げたわけではありません。「物価上昇率はFOMCの目標である+2%に向かって緩やかに加速」するとの予想を据え置いています。

 パウエル議長は、「景気過熱の回避」と「物価上昇率の目標値への回帰」をともに重視するバランスのとれた方法を志向すると述べ、そのためには「緩やかな利上げ」が妥当としています。

 

【今後の展開】物価の落ち着き等から、緩やかな利上げ継続の見通し

 今回の『議会証言』に特にタカ派的な内容は見当たりませんでしたが、景気に対するパウエル議長の自信の深まり等を受け、今後、利上げのペースは加速するとの見方が強まり、米国市場では国債利回りが上昇(価格は下落)、株価は下落しました。

 確かにパウエル議長は経済見通しに自信を深めていますが、同時に「利上げはデータと見通し次第」と述べています。物価上昇率がFRB目標を下回っている状況で、景気の腰折れを招きかねない利上げの加速へと、政策変更する可能性は低いと考えられます。