2017年は、仮想通貨で大きな利益を上げた個人投資家も多かったようです。利益を上げたら必要なのが確定申告と納税。申請をしなければ一体どうなるのでしょう。

 

仮想通貨で利益をあげた場合の税金は?

 今回より、コラムタイトルを「知らなきゃ損する!今日から使える税金のキホン」に変更し、内容をバージョンアップいたします。
 相続に関する税金にとどまらず、個人投資家の皆さんに知っておいていただきたい、すぐに役立つ税金の知識を提供してまいりますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 昨年12月1日、国税庁より「仮想通貨に関する所得の計算方法等について(情報)」が公表されました。
 仮想通貨に関する課税関係についてある程度明確になりましたから、仮想通貨で利益を上げた個人投資家の方は、この情報に基づいて確定申告・納税をしていけばよいこととなります。

(参考)国税庁 仮想通貨に関する所得の計算方法等について(情報)

 この情報によれば、仮想通貨で利益をあげた場合、雑所得として所得税・住民税の課税対象となります。雑所得は他の所得(給与所得、事業所得、不動産所得など)と合算して累進課税による総合課税となります。

 そのため、大きな利益をあげた場合、所得税・住民税合計して50%超の税率となることもあります。上場株式ではどれだけ利益を得ても税率は20.315%ですから、これに比べるとかなり大きな税負担になります。

 

他の仮想通貨への買い替えや買い物での使用も課税対象に!

 今回の情報で明らかになったのが、他の仮想通貨への買い替えや、仮想通貨を使って買い物をした場合の税務上の取り扱いです。

 たとえばリップルの購入のためにビットコインを使用した場合、ビットコインを売却したとして、売却益に対して課税されます。

 また、最近は飲食店や家電量販店など、ビットコインで買い物ができる場所も増えてきましたが、買い物をしたときも、その際に使ったビットコインを売却したものとして、売却益に対して課税されることになります。

 つまり、保有している仮想通貨を売却しなくとも、他の仮想通貨に交換したり、買い物に使用すれば、売却したときと同様、課税対象になるということです。

 

仮想通貨取引で損失が生じた場合はどうなるの?

 仮想通貨は非常に値動きが激しいものです。そのため、2017年の1年間を通せば大きく上昇したものの、「高く買い、安く売る」を繰り返してしまえば利益ではなく損失を被ってしまいます。

 しかし、仮想通貨取引で損失が生じた場合は何も救済措置がなく、切り捨てとなってしまいます。

 上場株式であれば、確定申告を条件として損失を3年間繰り越し、その間の売却益や配当金と相殺することで、税負担を軽減することができます。

 でも、仮想通貨取引の場合は2017年に大きな損失を出し、2018年に大きな利益を出したとしても、2017年の損失と2018年の利益を相殺できず、2018年の利益に丸々課税されることになってしまうのです。(2018年の税務上の取り扱いはまだ決まっておりませんが、現状の税制ではそうなります。)

 

利益が出たけれど、確定申告をしなくても大丈夫?

 個人投資家の方が最も気になるのが、「仮想通貨の利益を確定申告しなくても大丈夫?」ということでしょう。

 まず、大前提として、納めるべき税金を納めなければ、「脱税」という犯罪になります。ですから、利益につき確定申告をして納税をしなければ、大丈夫かどうかという話ではなく脱税しているということです。

 確かに「バレなければ大丈夫」という考えもあるかもしれませんが、税務署は皆さんが思っているよりはるかに高い情報収集力をもって、脱税している人を摘発していきます。

 確定申告および納税を期日内にしなければ、本税(もともと生じている税金)に加え、無申告加算税や延滞税がかかります。悪質と認められた場合は、無申告加算税の代わりに重加算税という、本税の40%ものペナルティーが別途かかります。

 特に、大きな利益を上げた方は非常に高い税率となるので、「払いたくない」という気持ちもあるかもしれません。でも、払うべきものを払わずに後日税務署に見つかれば、多額のペナルティーにより利益のほとんどを税金として持っていかれることになりかねません。

 そして、最悪の場合、脱税容疑で逮捕、ということも十分にありえます。実際、FX取引では多額の利益を得た個人投資家が何人も逮捕されています。
 逮捕ともなれば、実名で報道され、社会的信用を一気に失うことになります。

 仮想通貨で利益を上げた方は、くれぐれもしっかりと申告、納税をするようにしてくださいね。