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 2018年1月30日~31日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨が、2月21日に公表されました。今回の『FOMC議事要旨』によれば、トランプ政権による財政支出拡大を受け、経済見通しを上方修正しました。さらに、潜在成長率を上回る成長が続き、労働需給が引き締まってきたことから、利上げの継続が妥当との判断を下しましたが、そのペースはあくまで緩やかであり、利上げを急ぐ様子は見られません。

 

【ポイント1】経済見通しを上方修正

インフレは緩やかに上昇との見方を維持

 公表された『FOMC議事要旨』によれば、「最近の経済指標から判断すると、米国経済の直近の見通しは、昨年12月時点の予想よりも少し強いようだ」との意見が大勢を占めました。金融環境が引き続き緩和的であることに加え、昨年12月に成立したトランプ政権の「税制改革法」(減税)の効果が従来の想定よりは大きくなる見通しであることなどによるものです。

 インフレについては、「需給が一段と逼迫し、賃金上昇圧力が強まるにつれ、FOMCの目標値である+2%に向かって緩やかに上昇する」との予想を維持しました。実際、幾つかの地区連銀からは、コストを吸収するため値上げに踏み切る企業も現れたとの報告が散見されるようになりました。

 

【ポイント2】緩やかな利上げの継続を示唆

性急な利上げは景気を腰折れさせる恐れ

 

 今回の議事要旨からは、FOMC参加者が経済の見通しに自信を深めている様子が窺えます。このため利上げの継続が必要との結論を下しましたが、そのペースは引き続き「緩やか」でした。利上げを急ぐ様子は、全く見られません。

 インフレが落ち着いているうえ、景気を刺激も抑制もしない金利水準である中立金利(自然利子率)が低下しているため、急いで利上げを行うと、すぐに中立金利を上回り、景気の腰折れを招く恐れがあるからと考えられます。

 

【今後の展開】財政支出拡大の影響をFOMCがどう判断するかが次の焦点

 今回の議論では、会合後に決定した連邦政府の歳出上限引き上げは考慮されなかったもようです。今後、財政支出拡大の効果がFOMCの経済見通しに織り込まれてくれば、政策金利の決定に際しても考慮に入れざるを得なくなると考えられます。財政政策の効果が、どのタイミングでFOMCの見通しに反映されるか、注意が必要です。

『FOMC議事要旨』発表後の米国市場では、議事要旨の内容が今年内に複数回の利上げが実施されるとの見方を裏付けるものと受け止められ、株価は下落、国債利回りは上昇(価格は下落)しました。10年国債利回りは、2014年1月以来となる2.95%をつけています。一方、外為市場では米ドルが主要通貨に対して上昇しました。