米国株式は5日連騰。日本も週後半ツレ高となって大幅上昇

先週の予測

 引き続きNYダウに連動する荒い動きになるとし、週末のオプション決算日まで続く可能性があるとしました。その主な原因は、長期金利の上昇に伴うVIX指数の急上昇によるアルゴリズムトレードの売りと考えています。日経平均株価のレンジはチャートをみると下値は2万1,000円前後が大きなフシとなっています。上値はNYダウ次第ですが、当面は2万1,000~2万2,000円の中での上下動としました。

 また、米国の利上げ観測が高まり、日米金利差の拡大予想となっています。トランプ政権での11月中間選挙に向けた「ドル安」政策と財政赤字懸念からドル安・円高の方向の動きとなってきています。

結果

 金利上昇一服とVIXショックも一服となったことで、米国株式は自律反発が続きました。NYダウは6日続伸となり週後半は日経平均も連動して2日連続の大幅反発。16日(金)は2万1,866円まで上昇して+255円の2万1,720円で引けました。

 3連休明けの13日(火)は、前週末の米国株高を受け、前場は+285円の2万1,668円で引けましたが、後場になると円が強含むと先物主導で下げに転じ、▲137円の2万1,244円で引けました。 14日(水)は、前場は一時+126円の2万1,371円まで上昇後マイナスになり、後場には為替が1ドル=106円台の円高となりました。

 日経平均は一時▲294円の2万950円と2万1,000円を割り込みました。終値では▲90円の2万1,154円となり、200日移動平均線(13日時点2万1,030円)を割り込んだあと回復したことで、目先下値をつけた動きとなりました。

 15日(木)は、前日の米国株式が4日続伸。NYダウは+253ドルの2万4,893ドルとなったことで、円高の影響は限定的なものとなり、一時+424円の2万1,578円まで上昇。+310円の2万1,464円と4日ぶりの反発となりました。週末の16日(金)も前日の米国株式の5日続伸を受け全面高。一時+401円の2万1,866円まで上昇しましたが、為替が1ドル=105円台をつけるとさすがに上値は重くなり、+255円の2万1,720円で引けました。

 16日(金)の米国市場は、経済指標は好調なものの3連休を控えて3指標はやや軟調なスタートとなりました。しかし、10年債利回りの上昇がみられなかったことで株価は次第に買い優勢となりました。午後にモラー特別検察官が大統領選にからみ、複数のロシア人と企業3社を訴追すると発表したことで、ロシアゲート問題が再燃し、株価はチグハグの動きとなりました。NYダウは+19ドルの2万5,219ドルと6日続伸でした。シカゴの日経先物は+135円の2万1,875円となっていました。

 

為替の動きは要注意

 先週後半の日経平均は、米国株高が支えとなっていましたが、日米金利差拡大にもかかわらず、円高・ドル安が一時1ドル=105円台まで進みました。
 日経平均は日銀の異次元緩和による円安などを追い風にして上昇を続けてきました。 しかし、輸出企業の想定為替レートは110円水準ですので、大きな為替差額が出る水準の円高となっています。ただ、市場の見方では3月期決算までは、これまでの円安分で調整されて業績への影響はあまり与えないとの見方のようです。 

 とはいえ、110円を大きく下回る円高が続けば、当然、輸出企業は下方修正をしてくることになります。今は短期的な需給要因で株価の上昇が続いている可能性があり、その間に為替が円安方向に戻らなければ日本株は円高を織り込んだ調整が続くことになります。

 先週、円高が止まらなかった原因は、米国の消費者物価指数が前回の0.2%から1月は0.5%になり、10年物国債も2.9%水準まで上昇したことです。これを受けた利上げ懸念から株式市場が下落し、リスク回避の資金が円買いに向かいました。

 また、トランプ大統領の大幅減税政策やインフラ投資が財政赤字を膨らませることで貿易赤字問題に着手しそうな雰囲気も円高要因となっています。経済の動きからいえば、日米金利差拡大方向にあるわけで円安となるのですが、前にも述べたように、短期的には政治が経済を優先するというのが歴史の現実です。

 先週後半は、景気が良いことで米国の金利が上昇、株式市場も上昇、ドル下落という形で東京市場に戻ってきました。ただ、これからのトランプ大統領はドル安政策をとって円高を誘導する可能性が高いと思われます。16日米国では米商務省が輸入制限案を提出。鉄鋼やアルミニウムを安値で米国へ輸出する国への対抗措置として、輸入量を制限する案をトランプ大統領に勧告したと発表しました。

 主力は中国ですが日本も入っています。この延長線上に為替是正も出てきそうです。円高がどこまで進むのかは中間選挙の情勢、貿易収支改善策としての有効な手段との比較などが決めると思われます。市場では1ドル=105円が底だといっていますが、チャートをみると昨年の9月9日の107.32円の直近の安値を切って下放れの形となっており、100円を目指す形といえます。

 そうであれば、今年の1月23日の2万4,129円は今年のピークとなる可能性は高そうです。

 

日経平均の上昇がどこまで継続するか見極めるところ

今週の予測

 米国の株式市場や為替相場の動きをみながらの展開となりそうです。為替は円高水準のままですが、米国株式が長期金利の高止まりを背景とする景気悪化懸念からの株式下落はいったん後退し、その反発に連動して日本株も連動しています。ただし、日本株は円安をベースとする上昇であるため、この上昇がどこまで米国株式と連動するかを見極めることになります。為替のチャートは下放れの形となっていますので、輸出企業の想定レートである1ドル=110円水準への戻りは当面は難しいと思われます。そうなると戻りは限定的となります。

 基本は2万1,000~2万2,000円のレンジ内の動きですが、ここを超えるとしたら2月7日の2万2,353円が長い上ヒゲとなっていますので、ここを埋めるぐらいまでというところでしょう。

(指標)日経平均

先週の予測

 米国の上下動に左右される展開を予想。上に行く場合は、終値で2万1,900円以上で引ければ買い転換となって、さらに戻りを試す形になるとしました。

結果

 NYダウが先週の2月8日(木)まで下落で高値から11%近い下げとなっていたことで、2月9日(金)から急反発となり2月15日(木)まで5日連続の続伸となって2万5,000ドルを回復したことで、日経平均もNYダウに連動し、2月15日(木)は+310円の2万1,464円、2月16日(金)は+255円の2万1,720円となりました。為替は1ドル=105円台に一時入ったにもかかわらず大幅上昇というのは理解しにくい動きです。

今週の予測

 先週の後半に米国株式に支えられ(急激な円高にもかかわらず)、2日連続の大幅高となったことで2万2,000円を前に正念場といえます。NYダウの上昇が続き円高一服していれば2万2,000円を試すことになりそうです。しかし、NYダウがもみあいとなり、為替が円高水準のままであれば日経平均は上値の重たい動きとなって2万1,000~2万2,000円のレンジの真ん中近辺でのもみあいとなるかもしれません。2万2,000円を超す場合は2月7日の2万2,353円の上ヒゲを埋めるぐらいは考えられます。いずれにせよ為替が110円水準へ戻らず円高のままであれば、いずれ輸出関連株の下方修正が続いて日経平均は下値をさぐる動きも考えられます。

 19日は、NY市場が休場ということもあり、外国人の売り注文が減少。この中で株価指数先物の買いで上げ幅を拡大し、+428円の2万2,149円と買い転換のサインが出現しました。

 

 

(指標)NYダウ

先週の予測

 長期金利の動き次第では、大きな上下動を想定し、荒い動きになりそうだとしました。

結果

 前週の2月8日(木)の1,000ドルを超す下げで史上最高値からの下落率が11%を上回る状況になっていたことで、2月9日(金)は+330ドル2万4,190ドルと自律反発で引けました。先週は、それを引き継いで2月15日(木)まで3指標は5日続伸。

 好調な経済指標や10年債利回りの一服もあって反発が続き、3指標とも柴田罫線ではいったん買い転換となっています。週末の2月16日(金)は、ナスダックは反落したもののNYダウは一時+232ドルの2万5,432ドルまで上昇。終値は+19ドルの25,219ドルと長い上ヒゲを出して6日続伸となりました。

 先週の2月15日の終値2万5,200ドルでチャート的には買い転換となっています。2月16日(金)には、一時2万5,432ドルまで上昇しましたが、トランプ大統領のロシアゲート問題の再燃で+19ドルの2万5,219ドルまで上げ幅を縮小して引けました。政権運営の不透明さが出てくることになります。長期金利の上昇からのVIXショックがいったん落ち着いていますが、まだ警戒心が残っており、ここからの上値は重くなりもみあいとなりそうです。

 

(指標)ドル/円

先週の予測

 ドル・円は強弱感が対立し、ドルは下げ渋る可能性としました。

結果

 日米株高でもドル売り優勢となり、一時1ドル=105.55円までのドル安・円高となりました。要因は、米国の財政赤字の拡大に対する警戒感からのドル売り、1月小売売上高の予想を下回った結果のドル売り、トランプ政権の貿易不均衡是正からのドル売りの見方でした。一方で3月利上げの見方や好調な経済指標から長期金利は上昇しており、日米金利差拡大からの円安材料はあるもののそうはなっていません。

 先週は、急激な円高進行となり直近の安値である昨年の9月9日の107.32円を下に切り、週末の2月16日(金)には、一時105.55円まで下げ、引け値は106.30円となっています。チャートを見る限りドル/円は完全に下放れしており、戻しても109円水準というところです。下値はまずは100円を目指す形といえます。

今週の予測

 105.5~107.5円の間でのもみあいが想定されます。ユーロ高・ドル安が進行すればドル・円にも影響し、円高方向となり、3月利上げが確定してくると織り込む形でドルが買われることになります。