先週は、NYダウの大きな上下動に連動し、一時▲1,603円の2万1,078円まで下落

先週の予測

 米国株式を見ながら、日経平均株価は下値模索の動きとし、本格調整となった場合の単純なシナリオを想定しました。それは、トランプ相場がスタートとした2016年11月4日の1万7,883ドルから今年の1月26日の史上最高値2万6,616ドルが当面のピークとなる場合は、上昇幅の3分の1押しの2万3,705ドルを目安としたためです。

 その場合、日経平均は2016年11月9日の1万6,111円から今年の1月23日の昨年来高値2万4,129円までの上昇幅の3分の1押しの2万1,457円水準になるとしました。

 結果的に、2月5日(月)は、米の長期金利の上昇が止まらず、NYダウは急落となり▲1,175ドルの2万4,345ドルとなったことで、これを受けて6日(火)の日経平均は、一時▲1,603円の2万1,078円まで下げ、終値は▲1,071円の2万1,610円となりました。想定したシナリオが翌日に実現してしまいました。そこで臨時のメッセージとして「この暴落はどこで止まるか」を出しました。

 そこで、NYダウ次第であるが、最初のシナリオが3分の1押しだったので、次は38.2%押しと2分の1押しを想定すればよいとしました。

結果

 先週の2月6日(火)以降の動きは、NYダウは自律反発から+567ドルの2万4,921ドルと反発するも、7日(水)は▲19ドルの小幅反落。8日(木)は長期金利の上昇が止まらずNYダウは先週、2度目の1,000ドルを超す下げとなり、2万3,849ドルまでいき▲1,032ドルの2万3,860ドルで引けました。日経平均もNYダウに連動する形で、7日(水)の前場は、一時+743円の2万2,353円まで上昇するものの、後場は上げ幅を一気に縮小。+35円の2万1,645円となりました。 8日(木)は、+245円の2万1,890円と続伸しました。

 しかし、前日のNYダウが再び急落したことで、9日(金)は、一時▲771円の2万1,119円まで下げ、終値は▲505円の2万1,382円となりました。NYダウは、上げ幅の3分の1押しの2万3,705ドルにあと少しの2万3,849ドルまで下げています。日経平均は、ちょうど38.2%押しの2万1,067円にほぼ接近する2万1,078円まで下げました。

 9日(金)の米市場は、荒い動きとなりました。一時500ドルを超える2万3,360ドルまで下げたあと、上昇に転じて一時+521ドルの2万4,382ドルまで上昇し、終値は+330ドルの2万4,190ドルで引けました。1日の値幅は1,021ドルでした。シカゴの日経先物も大きく乱高下し、NYダウに連動し2万525円まで下げ、そこから2万2,140円と715円戻して引けました。

 

今週もNYダウに左右される展開へ

今週の予測

 NYダウに連動する動きとなりそうです。NYダウの荒い動きがどこかで止まるかですが、目先は週末のオプション決済日までは続く可能性があります。今回の暴落のきっかけは「金利」でした。長期金利の上昇に伴うVIX指数の急上昇により、アルゴリズムトレードでの売りが拡大しました。VIX指数が3%変動すると先物を売るとみられており、これが相場下落の一因といわれています。

 また、長期金利の上昇要因は、トランプ政権の減税政策のもとでの財政赤字拡大のところに米連邦政府支出約3,000億ドルの増額(2年間の予算含む)が加わり、さらに今後15兆ドルに及ぶインフラ計画発表予定ですので、長期金利上昇圧力となってきます。

 一方で米国の利上げは継続するのですが、円高要因が出てきています。2017年度の米国の貿易赤字は対中貿易で3,752億ドルと過去最高を更新し、対日貿易赤字は688.48億ドルとなっています。11月の中間選挙に向けて、トランプ政権は貿易不均衡是正に動く可能性があります。また、2月1月調査の日銀短観によると大企業・製造業の2017年度の想定レート110.18円、下期の想定レート109.66円(現時点108円台)であり、為替差額が出ていることで、輸出製造業からのドル売りが出て円高に振れやすくなっています。1月2週目から外国人投資家の売り越しも続いています。

 以上から、先週の日経平均は一時2万1,078円まで下げましたが、底を打ったかどうかはまだわかりません。チャートをみると2万1,000円前後は大きな基準となっていますので、いい水準まで下げてはきています。ただし、上述したようにNYダウ次第のところがあります。当面は2万1,000~2万2,000円の中での上下動となりそうです。

 連休明けの本日13日(火)は、昨日のNYダウが+410ドルの2万4,601ドルと大幅に続伸したことで、前場は+250円の2万1,633円で寄り付き、2万1,679円まで上昇し、前引けは+285円の2万1,668円と高値圏を維持して引けました。しかし、後場は円の強含みもあって売り先行となり、午後2時過ぎには下げに転じ、一時▲171円の2万1,211円の111円まで下落し、大引けは▲137円の2万1,244円でした。時価総額の大きい銘柄中心に海外の機関投資家とみられる売りが多くなり、マイナスに転じてしましました。

 

(指標)日経平均

先週の予測

 米国株式と為替に左右される展開になるとし、決算発表中で機関投資家は動きにくいので、先物主導で上下にブレる可能性があるとしました。日本市場の2月5日(月)の引け後の▲592円の2万2,682円のチャートの形をみて、トランプ相場の上昇幅の3分の1押し水準まで下げるシナリオを提示しました。

結果

 週の終値では▲508円の2万1,382円となり、3分の1押しの2万1,457円を下回る水準まで下げ、ザラ場では38.2%押しの2万1,067円に接近する2万1,119円まで下げました。

今週の予測

 米国株式の上下動に左右される展開。大きな値動きも今週末にオプションの決済日を控えていることで、荒い動きの可能性。NYダウが一段安となれば日経平均も2万1,000円を試す動きが想定されます。チャートからは、2万1,000円前後が大きな下値ゾーンとみられます。上値は柴田罫線では、引線の終値で2万1,900円以上で引ければ買い転換となって戻りを試す形となります。

 

(指標)NYダウ

先週の予測

 前週末の1月の雇用統計の強い結果を受けて、長期金利が上昇したことで株価は急落し、引き続いて当面の下値をさぐる可能性があるとしました。

結果

 金利の上昇は止まらず、2月5日(月)の▲1,175ドル、2月8日(木)の▲1,032ドルと週を通じて、大幅な上下動の中で2回とも1,000ドルを超す下げとなりました。週末の2月9日(金)は、一時500ドルを超える下げで2万3,360ドルの安値をつけ、その後は500ドルを超す上昇となって+330ドルの2万4,190ドルで引けました。1日の値幅は1,021ドルとなっていました。

 長期金利の上昇をきっかけに世界的な株式市場の混乱となり、短期で急激な株安につながりました。混乱は収束しておらず、引き続き長期金利とVIX指数との変動率の低下に賭けるポジション解消の影響で値動きの大きさも今週末のオプション決算日まで続く可能性があります。トランプ政権による連邦政府支出の3,000億ドルの増額は減税も加わることで財政赤字拡大となって長期金利の上昇リスクにつながることになります。今週も荒い動きとなりそうです。

 

(指標)ドル/円

先週の予測

 3月利上げを見込んだドル買いとニュージーランド、オーストラリア、イギリスの中央銀行の政策金利の発表があり、利上げに前向き姿勢は円買いとなるとも、もみあいを想定しました。

結果

 米国の長期金利の上昇は、株の急落となったことでドル買いとはならず、欧米の金利先高感の台頭で世界的な株価の下落となり、原油安も加わってリスク回避の円買いが進行し、108.02円まで円が上昇しました。週末はNYダウが上昇したことでドルが108.8円まで買い戻されて引けました。

今週の予測

 株式市場は調整局面に入ったとの見方が広がっており、株価の上昇を期待したドル買いは後退することになります。一方で3月利上げの思惑が浮上すればドル買い・円売りの場面も出てくることになります。この両方の綱引きでドルは下げ渋りとなる可能性があります。108~110円のレンジを想定。