2月7日:国内経済と不動産市況が支え、デレバレッジ懸念も当面は堅調持続か

 BOCIは中国不動産市場の2018年の堅調見通しを理由に、短期的に金融業況が悪化する可能性は低いとみている。デレバレッジの継続が契機となる可能性は否定できないとしながらも、向こう1-2四半期は国内経済の堅調が金融業況を支えるとの見方。銀行セクター全体の先行きに対して強気見通しを継続した。ただ、銀行銘柄は年初から大幅上昇しており、短期的には一段高を支えるだけの大型材料は見当たらないとしている。

 中国銀行セクターは国内景気の回復や金融デレバレッジの継続というプラス・マイナス要因が織り交ぜとなった複雑な事業環境下にあり、18年の業界見通しを難しくしている。1月下旬のダボス会議(世界経済フォーラム年次総会)で、中央財経領導小組弁公室の劉鶴主任が「マクロ経済の債務を適正レベルに抑制するには向こう3年を要する」と述べたことから見ても、金融デレバレッジはまだ初期段階。BOCIはこの先、デレバレッジの継続が経済サイクル、金融サイクルに影響を及ぼす可能性を指摘している。

 ただ、短期的な金融業況悪化の可能性には否定的であり、その理由として18年の不動産市場の堅調見通しを挙げている。社会融資総量(流動性指標)やマネーサプライM2、GDP成長率といった主要指標は17年上期にピークに達した後、下期に減速に転じたが、不動産価格はいまだ堅調であり、17年12月も上昇トレンドが続いた。大手デベロッパーの資金力は強く、18年も物件相場の目立った下落は予想しにくいという。

 BOCIはまた、金融サイクルが1-3四半期のタイムラグで、経済周期の先行指標になりえると指摘。現時点で金融サイクルに変調が見られない以上、経済サイクルへのインパクトは少なくとも向こう3四半期にわたって起こり得ないとしている。

 一方、向こう1-2四半期にわたり、BOCIは中国経済のファンダメンタルズと株価の低バリュエーションが銀行銘柄の支援材料になるとの見方。ただ、年初からの急伸を受け、短期的に一段高を支える大型材料は見当たらないとした。銀行セクターの潜在リスクとしては、政府当局による一段の監督強化や金融引き締めの可能性を挙げている。

 個別に見ると、トップピックは中国農業銀行(01288)。現在株価の18年予想PBR(株価純資産倍率)が0.77倍と、中国建設銀行(00939)および中国工商銀行(01398)の平均値を11%下回るとしている。また、中国民生銀行(01988)に関しても、現在株価(18年予想PBR0.61倍)や経営人事の落ち着き、資産の健全性、中小企業向け融資の回復などを理由に特に強気。ほかに、中国建設銀行、交通銀行(03328)、招商銀行(03968)、中国光大銀行(06818)、中信銀行(00998)、重慶農村商業銀行(03618)の株価の先行きに対しても強気見通しを示した。うち中国建設銀行に関しては強固なファンダメンタルズを評価し、18年、19年の予想EPSを1.9%、3.4%上方修正。これに伴い目標株価(18年予想PBR1.03倍に設定)を引き上げている。