昨今の株式市場の急変や地政学的リスクの高まりなどにより、安全資産として金(ゴールド)に目を向ける方も多いと思います。今回はコモディティ関連キーワードの解説の4回目として、金(ゴールド)の供給と消費について解説します。
金(ゴールド)の価格は、米国をはじめとした主要国の金融政策、消費大国である中国やインドなどの経済情勢、産金国やリサイクルなどからの供給等、さまざまな材料によって変動します。金(ゴールド)の供給と消費の動向についての知識を備えておくことは、今後、金への投資を検討する上で役立つと考えています。
以下は、筆者がさまざまな情報をもとに作成した、金の需給について説明した文です。穴埋め形式にしてありますので、ヒントをもとにトライしてみてください。解答は最後の問いの下にあります。
正解はいくつ? 金(ゴールド)クイズ
問1:金(ゴールド)の供給について
問2:金(ゴールド)の消費について
【ヒント】
(7)中央銀行 、 国際連合
(8)ロシア・トルコ 、 中国・インド
(9)カナダ 、 ロシア
(10)外貨準備高 、 余剰資金
解答はコチラ
問1の答え:金(ゴールド)の供給
金は、鉱山生産やリサイクルによって供給されている。
鉱山生産は、金鉱石を含んだ鉱脈を地下深くまで掘り進むケースがある(1)坑内掘り、鉱脈が比較的浅い場合に行う(2)露天掘り等によって行われている。
かつて、世界1位の鉱山生産量を誇った(3)南アフリカ共和国では坑内掘りが主流である。現在、地下数千メートルまで掘り進められている鉱山があり、危険な環境での掘削活動が行われているため、労働者による(4)ストライキが発生することがある。
鉱山生産の第1位(2016年時点)は(5)中国である。(5)中国はこの10年、産金量1位を維持している。2位はオーストラリア、3位はロシアである。(3)南アフリカ共和国は8位である。
プラチナやパラジウムなどの生産国が偏っている貴金属と異なり、金は生産国が世界の幅広い地域に分布している。
リサイクルでは、携帯電話などの電子機器に含まれる金を取り出す、(6)都市鉱山からの供給に注目が集まっている。2020年の東京オリンピック・パラリンピックで用いるメダルも、(6)都市鉱山から金を抽出して作られることになっている。
問2の答え:金(ゴールド)の消費
金の消費は統計上、次の3つのカテゴリに分けられる。
宝飾品や電子機器向けの加工用、地金(じがね)やコイン、ETF(上場投資信託)などの投資用、そして(7)中央銀行(米国であればFRB、日本であれば日銀)の保有である。
個人を中心とした消費(宝飾品と地金・コイン向けの合計)のおよそ60%は(8)中国とインドによるものである。その傾向は年々上昇傾向にある。
また、2010年ごろから、それまで自らが保有していた金を売却する傾向があった(7)中央銀行が、市場から金を購入するようになった。
歴史的に金を重用する傾向がある欧米諸国の(7)中央銀行の保有量が多い傾向がある。近年は中国や(9)ロシアの中央銀行も保有高を増やしている。
世界的なリスクの高まりや自国の通貨の価値が急変する等の突発的な事象への備えとして積み上げている(10)外貨準備高の一部に金を組み入れておく、という流れが強まっていることを示している。
※参考資料
図1:金の鉱山生産量 単位:トン
図2:全個人消費に占める中国とインドの個人消費(合計)の割合
図3:中央銀行の積み上げ高(ネット)の推移 単位:トン
図4:中央銀行の金(ゴールド)の保有高 2017年12月時点 単位:トン
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