<今日のキーワード>

 日本の株式市場は、年初来、日経平均株価が企業業績の好調などを背景に大幅に上昇し、1月23日には24,000円台を回復しました。その後、米長期金利上昇懸念などから米国株式が大幅に下落したことで、日経平均も急落し不透明感が強まっています。こうした局面では『需給・テクニカル指標』などが目安となることがあります。ここでは『需給・テクニカル指標』から、今後の株式市場について検討してみたいと思います。

 

【ポイント1】株価急落に伴い不透明感拡大

不透明な際は『需給・テクニカル指標』などが有効

 日経平均株価は、今年に入り、取引初日の大発会で741円上昇した後、1月23日には24,000円台を回復するなど大幅上昇しました。その後、米国株の大幅下落に伴い急落し、不透明感が強まっています。こうした局面では、「日経平均ボラティリティー・インデックス」(日経平均VI)、信用取引、裁定取引の動向などの『需給・テクニカル指標』などの活用が有効とみられます。

 

【ポイント2】日経平均VIは40%が目途

ネット信用・裁定残高と株価のピークは一致する傾向

 

 日経平均VIは、市場が期待する将来1カ月の変動を推定した指数です。市場急落時に40%を上回ると、株式市場の底入れの目安となるといわれます。

 信用取引は資金や株券を借りて株式を売買することで、手元資金以上の取り引きが可能となります。

 株価指数先物と現物株間の裁定取引は、理論価格よりも高くなっている割高な先物を売却するのと同時に割安な現物株を購入することを「裁定買い」といい、その反対を「裁定売り」といいます。

 信用買い残から売り残を差し引いた「ネット信用残」と、裁定買いから売りを差し引いた「ネット裁定残」は、株式市場のピークと一致する傾向があります。

 

【今後の展開】日経平均VIなどからみると徐々に落ち着きを取り戻す方向

 日経平均VIは2月6日に一時35.34%へ上昇し、40%の上限水準に迫りました。先物・オプションによるヘッジなどある程度株価下落への備えは進んだとみられ、ボラティリティが縮小する局面は近いとみられます。またネット裁定残、ネット信用残の急増は市場の上昇を期待したポジションが積みあがったことを意味し、下落幅が大きく期間も長期化する傾向がありますが、どちらも警戒水準までは増加していません。

 これらから市場は徐々に落ち着きを取り戻し、下落期間もあまり長期化しないと見られますが、今後も『需給・テクニカル指標』に留意していく必要があると思われます。