1月29日:前年急伸の後に年初からアンダーパフォーム、乗用車販売は1月下旬に持ち直しか

 自動車セクターは2017年に値上がり率上位を記録したが、18年に入ってからは市場の投資意欲の後退がかなり鮮明となっている。香港上場の一部銘柄の株価は17年に倍増の勢いを示したものの、年明け以降はセクター全体が相場をアンダーパフォームしている状況だ。個別銘柄も明暗を分け、17年に値上がり率上位だった吉利汽車(00175)、ブリリアンス・チャイナ(01114)、広州汽車集団(02238)から、出遅れ気味の北京汽車(01958)、東風汽車集団(00489)にシフトする傾向が鮮明となっている。

 BOCIは最近のリサーチの結果、セクター全体や個別銘柄に関して以下のような情報を伝えている。まず業界全体のファンダメンタルズを見ると、乗用車販売台数(小売りレベル)は1月の第3週目までに前年同期比約10%減。これにより、市場では新車販売の減速懸念が広がった。ただ、BOCIは低迷の理由として、「旧正月の時期的なずれ」を指摘(旧正月休暇の初日が17年の1月27日から、18年には2月15日に移動する)。ちょうど旧正月シーズンに当たった前年1月下旬の実績の低さに言及し、1月月間ベースでは販売台数がプラス成長に転じる見通しを示した。また、1月3週目までの販売低調のもう一つの原因とみられるのは、中国国内の幅広い地域での降雪。ただ、これはあくまで一時要因であり、旧正月明けの3月には“寒い冬”による新車市況へのマイナス影響が消える見通しという。

 一方、ポジションの点では、17年末以降、ファンドが自動車銘柄向けの配分を見直す動きに出ているもよう。金融などの低バリュエーション銘柄に資金がシフトしているとみられ、BOCIによると、多くのファンドが現在、自動車セクターに対して「イコールウエート」の中立姿勢に転じているという。香港上場の自動車銘柄の現在株価は18年予想PERで平均10.7倍。業種別では、うち部品銘柄が同15.8倍と最も高く、完成車メーカーが9.6倍、自動車ディーラーが8.6倍となっている。

 BOCIは香港株式市場の強気のセンチメントが今後も続くと予想。その上で、主要メーカーが2月上旬に最新販売統計を発表し次第、株価が反転上昇するとみている。この点では特に、ブリリアンス・チャイナ、吉利汽車、広州汽車集団など、18年通年の販売堅調が見込まれ、かつ値ごろ感の出た銘柄が有望という。一方、17年の出遅れ銘柄3社、長城汽車(02333)、東風汽車集団、北京汽車の中では、バリュエーションの点から東風汽車集団、北京汽車を選好。残る長城汽車に関しては17年10-12月期決算の発表に伴う株価上昇が期待できるとしている。

 BOCIは、個別では吉利汽車、ブリリアンス・チャイナ、広州汽車集団の株価の先行きに対して強気。このほか、部品メーカーでは福耀ガラス(03606)およびネクスティア(01316)の株価の先行きに対し、強気見通しを明らかにしている。