17年の成約額は10%増の低成長、成長加速に向け積極的な土地取得方針に転換

現地コード 銘柄名
00688 中国海外発展
(チャイナ・オーバーシーズ・ランド・アンド・インベストメント)
株価 情報種類
 28.55HKD
(1/18現在)
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 中国海外発展の2017年通期の不動産成約額は前年比10%増と、相対的に低い伸びにとどまったが、これは過去数年にわたる過度に保守的な事業戦略が背景。ただ、同社の新たな経営陣は積極的な土地取得姿勢に転じることで、向こう数年間の成長加速を目指す方針を鮮明にしている。BOCIは同社の強みとして、力強いバランスシートや国有企業としてのバックグラウンドを指摘。主要都市の住宅市場が落ち着く中、業界全体の集約化局面において同社が優位に立つとみて、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 18年に分譲対象となる同社の開発物件は4500億-5000億HKドル相当。17年の販売率66%をあてはめた場合、18年の成約額は2970億-3300億HKドルとなる。BOCIは主要都市(1線-2線都市)の住宅市場の沈静化を反映させながらも、18年の成約見通しを18.8%上方修正し、2500億-2970億HKドルに設定した。前年比では最大28%の伸びとなる。

 同社経営陣はこれまでの慎重姿勢を改め、積極的な土地取得を通じて高成長を目指す方針に転じ、17年には延べ床面積換算で1990万平方メートル分の用地を取得した(期中の成約面積は同1450万平方メートル)。市場調査会社CRICの試算によれば、17年の取得用地は分譲価格換算で3553億元(期中の成約額は2321億HKドル)に達し、デベロッパー別で6位にランクインしたという。BOCIはこうした積極的な経営戦略が18年以降の成約額の伸びに寄与するとの見方。純負債比率は17年末に推定31%(17年上期末は15.7%)と、同業銘柄との比較では引き続き最も低いレベルにとどまるとしている。

 17年通期の売上高について、BOCIは1959億HKドルを予想。同期のコア純利益見通しを2%増額修正し、336億HKドルに設定した。予想粗利益率および純利益率をそれぞれ0.3ポイント、0.4ポイント引き上げ、30.4%、17.2%に設定したことが背景。17年には市場コンセンサス予想並みの利益水準を達成すると予想。18-19年も17年並みの利益率を維持するとみている。

 BOCIは成約額と利益見通しを引き上げたのに伴い、1株当たり予想NAV(純資産価値)を9%増額し、44.88HKドルに設定。同時に目標株価を引き上げた。同社株価は現在、18年予想PBR(株価純資産倍率)1.1倍で取引されており、予想NAVに対して36.5%のディスカウント水準。18年の予想配当利回りは4.7%の高水準にある。同社の財務の健全性を考慮すれば、現在株価に割高感はなく、今後の収益成長見通しが支援材料になり得るという。一方、レーティング見直しにつながる可能性がある潜在リスク要因として、BOCIは不動産締め付け政策を背景に、物件販売率が予想を下回る可能性を挙げた。