<今日のキーワード>

 ドイツでは、昨年9月に総選挙が実施され、与党のキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)が議席を大きく減らしつつも第一党の座を守りました。しかし、総選挙から約4カ月が経過する今も『連立協議』が難航しており、新たな政権は発足していません。ここにきて総選挙前まで連立を組んできたドイツ社会民主党(SPD)との本格交渉が始まる運びとなりました。ただし難民問題では合意が難しいと見られるなど、引き続き目が離せません。

 

【ポイント1】未だ新政権樹立ならず、難航する『連立協議』

自由民主党と緑の党との連立の交渉は決裂、再びSPDとの連立を探る

 ドイツでは、昨年9月に総選挙が実施され、メルケル首相率いる与党のCDU/CSUが議席を大きく減らしつつも第一党の座を守りました。また、総選挙前まで連立を組んでいたSPDも、大きく議席を減らしたものの、第二党となりました。

 SPDが連立解消の意向を示したことから、CDU/CSUは自由民主党と緑の党との間で『連立協議』を始めました。しかし、総選挙から約2カ月を経てこの交渉は決裂し、一時は再選挙の可能性も報じられました。その後、昨年12月に入り、それまで『連立協議』に応じない姿勢を示していたSPDは、一転して『連立協議』の開始で合意しました。

 

【ポイント2】再連立を目指す相手・SPDが重視する政策

CDU/CSUとSPDの立場には溝が見られる

 

 当初SPDは、外交面では欧州再生を重視し、欧州共通の税制や、欧州連合(EU)財務相の任命を、内政では医療保険改革や年金の充実化などを主な政策として挙げていました。

 一方、『連立協議』に際した事前協議では、SPDが看板政策とする医療保険改革は政策合意に十分に盛り込まれませんでした。また、難民の家族の受け入れについても、厳しい姿勢を示しているCDU/CSUに寄った内容となりました。

 

【今後の展開】SPDは『連立協議』入りを承認するも、再選挙の可能性も残る

 1月21日、SPDは臨時党大会を開き、大連立政権の継続に向けた『連立協議』入りを賛成多数で承認しました。今後の協議で合意が得られない場合には、再選挙の可能性が高まります。また、新政権樹立後も、CDU/CSUの議席数は総選挙前よりも大幅に減少していることなどから、メルケル首相は難しい政権の舵取りが続きそうです。