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『ベージュブック』は、米国に12ある地区連邦準備銀行(地区連銀)が、管轄地域の経済状況をまとめた「地区連銀経済報告」のことで、表紙のベージュ色が名前の由来です。『ベージュブック』は、年に8回開催されるFOMC(連邦公開市場委員会)の2週間前の水曜日に公表され、金融政策の判断材料として用いられます。今回は景気拡大が長期化するなか、前回に続き労働需給の逼迫が指摘されました。

 

【ポイント1】米国経済は拡大を持続

昨年11月の報告とほぼ同様の評価

 1月17日に公表された最新の『ベージュブック』は、「全米12の地区連銀からの報告によれば、2017年11月下旬から12月末にかけて経済活動は拡大を持続した」と総括しました。前回とほぼ同様の評価です。18年の見通しについても、依然として大半が楽観的でした。

 

【ポイント2】労働需給は引き続き逼迫、賃上げ圧力もじわじわ高まる 

企業の価格支配力回復を指摘する報告も散見

 内容を詳細に見ると、個人消費は自動車販売が“まちまち”だったのに対し、自動車を除く小売売上高は拡大しました。年末商戦については、事前の予想を上回る販売増が報告されるなど、おおむね順調だったもようです。

 製造業は、大半が拡大を続けましたが、そのペースは前回の「緩やか」から「緩慢」に僅かながら鈍化しました。非製造業では、前回に続き輸送業の拡大が報告されています。銀行に対する資金需要は堅調でした。

 労働市場については、ほとんどの地区が引き続き需給の逼迫を指摘しました。賃金上昇率は緩慢でしたが、人材確保のため、賃上げに踏み切る業種、職種が広がっているとの報告も散見されました。

 物価は、「緩やか」ないし「緩慢」なペースで上昇しました。いくつかの地区からは、企業の価格支配力が回復してきたとの報告も寄せられました。

 

【今後の展開】緩やかな利上げ継続の見通し

 今回の『ベージュブック』は、賃金・物価の上昇圧力が緩やかに高まることを示唆する内容でした。1〜3月期中に1度、「利上げ」が実施される可能性はあると見られます。

 労働市場が完全雇用と見られる水準にほぼ到達したと考えられることから、今後も利上げは継続される見通しです。ただし、物価上昇率は依然として低いため、緩やかな利上げになりそうです。