1月8日:18年も「影の銀行」締め付けを強化、当面は金利上昇圧力持続へ

 中国のインターバンク市場では2017年12月29日-18年1月5日週に、流動性の改善傾向が見られた。中国人民銀行が旧正月シーズンの円滑な金融サービスの継続を目的に、期間限定の「臨時準備金引出制度」(事実上の預金準備率引き下げ)を導入すると発表したことが背景。翌日物レポ金利は3.59%から2.45%へ、7日物レポ金利は5.42%から2.82%へ低下。SHIBOR(上海銀行間貸出金利)も翌日物が2.84%から2.82%へ、7日物が2.95%から2.75%へ小幅に下向いた。「臨時準備金引出制度」は全国性商業銀行を対象に30日間に限り、人民銀行に預けている法定預金準備金から預金準備率2ポイント相当分を引き出して使用することを認める措置となっている。

 人民銀行は引き続き流動性の安定維持を目指す方針だが、同行幹部はこのほど、生産財インフレなどを理由に、中国が金利上昇圧力に直面しているとの認識を示した。BOCIは引き締めに向けた強すぎるメッセージにつながるとして、人民銀行による利上げ(基準金利引き上げ)実施の可能性には否定的。ただ、商業銀行向け貸出金利の引き上げといった方法で、米利上げに対処する可能性があるとしている。少なくとも上期いっぱい、市中金利の低下余地は限定的という。

 一方、「シャドーバンキング(影の銀行)」の締め付け強化に向けた中国政府のシグナルを受け、債券金利は12月29日-1月5日週に上昇した。5年物政府債利回りは3.84%から3.85%に、10年物は3.88%から3.92%に上向いた。BOCIによれば、政府の締め付け方針は当面、債券市場への資金流入に影響する見込み。また、最近では2線級都市を対象とした不動産引き締め緩和の噂が流れており、仮にこれが真実であれば、債券利回りは短期的にさらなる上昇圧力に直面する可能性が高い。

 為替市場では18年第1週もドルインデックス(複数の主要国通貨に対する米ドルの総合的な価値を示す)の下落傾向が続いた。市場はグローバル経済の先行きを楽観しており、量的緩和からの出口政策がさらに広がるとの見方が優勢。米利上げについては、18年に2-3回との予測が目立ち、3月の利上げ確率は80%超とされている。

 ドルインデックスの下落やグローバル経済に対する楽観見通し、中国経済の堅調、さらに国内の相対的な金利高などから、人民元相場は引き続き上昇傾向にある。オンショア人民元(CNY)のスポット相場は12月29日-1月6日週に、1米ドル=6.51元から6.49元に上昇。BOCIは18年末目標を1米ドル=6.4-6.5元の水準に据え置いている。

 中国の金融政策面では、18年も影の銀行システムに対する締め付けがさらに強化される可能性が高い。資金調達コストの増大を受けた資金源の縮小が、同システムの痛手となる見込み。BOCIはオフバランス融資や債券投資が萎縮すると予想。この影響が18年の融資全般の伸びを抑制する半面、人民元建てローンの伸びを後押しするとみている。