今日は、読者から質問の多い、株主優待銘柄の買いタイミングについて、解説します。

株主優待制度とは?

 日本には「株主優待制度」という、世界でも珍しい制度があります。上場企業が株主に感謝して贈り物をする制度です。

 本来、株主には配当金を支払うことで利益還元するのが筋。ところが、日本の個人株主の一部に、お金(配当金)をもらう以上に贈り物(株主優待)を喜ぶ風潮があることから、株主優待という制度が存続しています。小売・外食・食品業では、個人株主がそのままお客さま(会社製品の購入者)になることもあるので、広報宣伝活動の一環として自社製品を優待品に積極活用する企業が多数あります。とても魅力的な制度なので、積極的に活用したら良いと思います。

 

注意すべき5つのポイント

 株主優待銘柄に投資をする場合、魅力とリスクの5つのポイントをおさえておきましょう。

  1. 効率的に優待を獲得するには、最小投資金額(ほとんどの銘柄では100株)で多数の銘柄に分散投資するのが有利
  2.  優待券はぜひ使いたいと思うものから選ぶ。優待券を売却できることもあるが、売却額は、通常、自分で使う場合のメリット享受額より小さい
  3. 配当利回りも考えて、総合的に有利なものを選ぶ
  4. 権利取り直前に株価が大きく上昇しているものは投資を避ける
  5. 業績不振銘柄や、不祥事を起こしている銘柄は避ける

 それでは、上記のポイントの4つ目「権利取り直前に株価が大きく上昇しているものは投資を避ける」について、もう少し詳しく説明します。

 

2月の株主優待銘柄を、2月の権利つき最終売買日に買うのは良いか?

 2月決算企業に投資して、2018年2月末基準の配当金や株主優待を受ける権利を得るためには、2月23日(金)までに買う必要があります。23日に買うと、ちょうど2月末(2月28日)に、株主名簿に登載されるので、2月末基準の配当金や株主優待を受ける権利が得られます。2月23日を「権利つき最終売買日」といいます。

 その次の営業日である2月26日(月)を、「権利落ち日」といいます。この日に2月決算銘柄を買っても、株主名簿に登載されるのは、3月1日(木)となりますので、2月末基準の株主優待や配当金は得られません。

 それでは、株主優待が魅力的な2月決算銘柄を2月23日に買うのは、有利でしょうか?それは、権利付き最終売買日までの株価の動きによって決まります。権利取り前に株価が大きく上がっている場合は、買いを見送るべきです。権利取り直前に株価が大きく上がっていなければ、買っても良いと思います。

 人気の優待銘柄は、権利付き最終売買日に向けて、権利取りの買いで大きく上昇することがあります。その場合、権利落ち日に株価が大きく下がる可能性が高くなります。配当金や株主優待を受ける権利が得られても、その価値以上に、株価が大きく下がっては意味がありません。権利取り直前に株価が大きく上がっている銘柄の買いは見送るべきです。

株主優待ねらいの買いで、権利取り直前に株価が大きく上がりやすい銘柄、5つの特色

優待取りの買いで、権利取り直前に株価が大きく上がる銘柄の一般的な特徴は下記です。

  1. 株主優待や配当金を、年1回(本決算のとき)しか出さない
  2. 小型株。流動性が低い
  3. 優待利回りが高い(優待を金銭換算し、投資額で割って、算出する)
  4. 使いやすい(誰もが必要とする日用品中心に幅広い選択肢がある)
  5. マネー誌などで、人気の優待注目銘柄として紹介されている

 このような銘柄に投資する場合は、権利つき最終売買日ではなく、その1~2カ月前に投資した方が良いといえます。

 たとえば、2018年2月末基準の株主優待を得るには、1月のうちに投資した方が有利な場合が多いといえます。銘柄によっては、前年12月のうちに買っていた方がいいこともあります。最終判断は、買おうと思うときに、株価チャートを見ながら行うべきです。

 

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