利益率の改善や財務の健全性を評価、18年には成約額1000億元の大台達成も

現地コード 銘柄名
03377 遠洋地産
(シノ・オーシャン・ランド・ホールディングス)
株価 情報種類
 5.25HKD
(12/18現在)
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 遠洋集団の物件成約額は2017年1-11月に626億元に達したが、BOCIは12月について約80億元を見込み、通年の成約目標(700億元)を達成するとみている。続く18年に関しては、分譲可能物件が少なくとも1800億元に上るとみて、通年の成約額が1000億元の大台に達する見通しを示した。また、粗利益率の改善見通しやバランスシートの健全性を評価し、18年予想PBR(株価純資産倍率)で0.7倍に相当する現在株価の低バリュエーションを指摘。同社株価の先行きに対して強気見通しを継続した。今後は前年実績の低さを一因とする成約額の伸びやストックオプション制度の導入が、同社株価の支援材料になるとみている。

 BOCIは遠洋集団の17年の予想粗利益率を0.5ポイント引き上げ23.5%に設定したが、これは16年実績を1.4ポイント上回る数字。16年中に成約した分の粗利益率は約25%で、17年の成約分はこれまでのところ25-26%に達しているという。うち粗利益率が相対的に高い未計上物件はこの先、18年、19年に段階的に計上される見込み(収益計上は物件引き渡しベース)。向こう2年間の粗利益率の改善が期待できる状況にある。

 同社事業は17年に、質的にも改善傾向を示した。1-11月には床面積換算で1390万平方メートル相当の土地(権益換算では560万平方メートル)を取得したが、これは同期の成約面積330万平方メートルを上回る数字。新たに取得した用地は1線、2線級の大都市部や、2線級の地域ハブが主体であり、新たに合肥、長沙、南昌、アモイなどに手を広げた。また、コスト削減を目的に、面積換算で全体の76%、金額換算では53%に当たる用地をM&Aを通じて取得。その結果、開発用地の平均取得コストを1平方メートル当たり5028元に抑えることに成功し、十分な利幅を確保した。取得総額は280億元と、1-11月の成約額の約45%相当。BOCIによれば、代金支払い後も、17年末時点の純負債比率は70%未満の水準を維持する見通しという。

 同社はストックオプション制度の導入を提案している。具体的には李明会長を含む上級、中級経営者らを対象に、発行済み株式総数の約10%分の取得権利を行使価格1株当たり4.98HKドルで付与する計画。BOCIはこうしたインセンティブの導入が、経営者と株主利益との一体化や経営能力の一段の強化につながるとみて前向きに評価している。

 BOCIは利益見通しの増額修正や買収を通じた事業拡大を反映させる形で、同社の予想NAV(純資産価値)を6.4%上方修正し、1株当たり11.70HKドルに設定。これに伴い、目標株価を引き上げた。同社の現在株価が予想NAVを55%下回り、18年予想PBRで0.7倍、予想配当利回りで5.2%の水準にあることを指摘。ファンダメンタルズの向上や財務状況の健全性を考慮すれば、現在株価のバリュエーションは低水準にあるとし、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。