先週の国内株市場ですが、週末12月22日(金)の日経平均は2万2,902円で取引を終え、週足ベースでは3週ぶりの上昇となりました。

 また、前週末の終値(2万2,553円)からの上げ幅が349円と比較的大きくなっていることを考えると、「掉尾の一振(とうびのいっしん)」と呼ばれる年末株高への期待も膨らみそうですが、実際に足元の相場にそれほどの高揚感があるかについては微妙な点もあります。

 では早速、いつもの通り足元の相場状況から確認していきます(下の図1)。

■(図1)日経平均(日足)の動き (2017年12月22日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成

 

 先週の日経平均の値動きを振り返ってみますと、週初に節目の2万3,000円台をトライするものの、達成できずに失速する格好となりました。「上昇後に失速」という、前週と同じようなパターンを描いたわけですが、週を通じて5日移動平均線が株価のサポートになっていることや、ローソク足の並びも前週は陰線が多かったのに対し、先週は陽線の方が多くなっています。

 また、前回「トレンドに変化が出るかもしれないので注意したい」と指摘した、TOPIXにおけるMACD(移動平均収束発散法)がシグナルを下抜けるクロス(デッドクロス)の出現ですが、こちらも実現することなく持ち直したことも明るい材料です(下の図2)。

■(図2)TOPIXとMACD(日足)の動き (2017年12月22日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成

 

 ちなみに、TOPIXは失速した日経平均とは異なり、週末にかけて3日連続で年初来高値を更新しています。

 以上を踏まえると、先週の相場のムードは前週からかなり改善したと捉えて良いと思います。

 そして、泣いても笑っても2017年相場は今週末で大納会を迎えます。

 今週はクリスマス休暇などで海外投資家を中心に株式市場への参加者も限られ、薄商いになるという予想が多いようです。また、ここ2週間あまり、一日の取引でプラス圏とマイナス圏を行き来する展開が続いていることもあって、引き続きレンジ相場で方向感に欠ける中、中小型株やIPO株、テーマ株などへの物色動向に注目というのが一応のメインシナリオです。

 ただし、視点を再び図1に戻すと、三角保ち合いへの意識が変化しつつある点に留意する必要があります。

 上の図1にもあるように、日経平均は上値の切り下がりと下値の切り上がりで形成してきた保ち合いを突破(上放れ)したものの、上値を伸ばすことなく下向きの上限の線に沿って推移していましたが、先週の値動きが加わることによって、今度は上値の線が2万3,000円水準でフラットな新たな三角保ち合いが描かれつつあるような印象です。

 2万3,000円の壁に阻まれるのは12月に入って3度目ですが、再度トライするのであれば今週がラストチャンスになります。また、三角保ち合いの形としては、上値の重さは水準が切り上がった分だけやや改善といった程度ですが、下値の線の切り上がりについては、その角度がより急になっています。

 つまり、保ち合いの幅が狭まっているため、上方向にも下方向にも保ち合いを抜ける可能性が高くなっています。そのため、小動きのメインシナリオに対して、値動きが意外と大きくなるサブシナリオも考慮に入れておいたほうが良いかもしれません。とりわけ、上方向については前回も指摘した通り、2万3,000円台乗せは大きな意味を持っていますので、達成できれば意外高もあるかもです。

 年末が近づき、取引参加者が減少すると、ちょっとした材料や手仕舞い売り、新年相場への期待感などが絡んで、思ったよりも株価の値動きが大きくなることがよくあり、よく「餅つき相場」と呼ばれます。相場の値動きの様子をペッタン、ペッタンと杵が上下する動きに例えた表現ですが、テクニカル分析的にも、三角保ち合いのレンジ放れが近づきつつあるタイミングでもあるため、2018年へ向けた餅つき相場は、荒れる相場展開への警戒が必要になりそうです。