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 2017年は欧州各国で重要な選挙が相次いで行われました。昨年、英国が欧州連合(EU)離脱を選択したことに代表される、欧州でのポピュリズムの高まりがどのような選挙結果となって表れるかが焦点でした。結果は、オーストリアで極右政党が連立政権の一部を担うことになりましたが、いずれの国でも大きな波乱には至りませんでした。来年も、ドイツの連立交渉の行方やイタリア総選挙など、引き続き欧州の政治動向が注目されます。

 

【ポイント1】フランスでは極右・ルペン氏を下し、マクロン大統領誕生

『欧州選挙イヤー』の皮切りとなったオランダ総選挙では与党が政権の座を守った

■『欧州選挙イヤー』の皮切りは3月のオランダ総選挙でした。事前の世論調査では極右・自由党が政権を取るかとの見方もありましたが、結果は与党・自由民主国民党が議席を減らしつつも政権の座を守りました。

■4月、5月に実施されたフランスの大統領選挙では、極右・国民戦線のルペン党首と中道系のマクロン氏が決戦投票に進んだ末、マクロン大統領が誕生しました。また、6月に実施されたフランス下院選挙では、就任したばかりのマクロン大統領が率いる新党・共和国前進が勝利しました。

 

【ポイント2】ドイツではメルケル氏が続投

オーストリアでは極右政党が政権入り

 

■9月に実施されたドイツ総選挙では、メルケル首相率いる与党のキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)が議席を大きく減らしつつも第1党となりました。反難民の右派・ドイツのための選択肢(AfD)は初めて国会での議席を獲得し、第3党に躍進しました。現在も連立交渉が難航していますが、AfDが政権に入ることはなく、第2党となった社会民主党との交渉が進められています。

■10月に実施されたオーストリア総選挙では、与党・国民党が第1党となり、クルツ党首が31歳で首相に就任しました。また、極右・自由党が国民党とともに連立政権を組むこととなり、オーストリアでは極右政党が政権の一部を担うことになりました。

 

【今後の展開】イタリア総選挙など、欧州では来年も注目の政治イベントが続く

■4選目となったメルケル首相の連立交渉が今も難航しているものの、『欧州選挙イヤー』に大きな波乱はなかったと言えます。足元ではカタルーニャの独立問題が流動的であるほか、来春実施予定のイタリア総選挙ではいずれの政党も過半数を獲得できない可能性があるなど、来年も欧州の政治動向から目が離せません。また、EUからの離脱(Brexit)をめざす英国とEUとの交渉の進捗にも注目です。