先週までの3回、国内商品先物市場で取引ができる銘柄を「貴金属」「石油」「農産物」の3つのカテゴリに分け、それぞれの特徴を述べました。今週は、各銘柄の価格変動の要因を報じるニュース(情報)に登場する、専門的な用語について解説します。

 キーワードは「OPEC」です。

「OPEC」というキーワードは、主に原油や石油製品の価格変動を報じるニュースに登場します。足元の原油価格動向への理解を深めたり、今後の原油価格の変動を考察したりする上で重要なキーワードです。原油市場の動向が株式や通貨の動向に与える影響が大きくなっていることから、OPECを知ることの重要性は増していると思います。

 以下は、筆者がさまざまな情報を元に作成した、OPECについて説明した文です。ただ説明しただけでは理解が深まりにくいと思い、出題形式にしてみました。合計5問あります。ヒントをもとに、トライしてみてください。解答は問5の下にあります。

 

いくつ正解するかな? 「OPEC」問題

問1


 

問2


 

問3


 

問4

問5

解答はコチラ

【解説】

 OPECは原則として石油を輸出する国で構成されています。2016年11月の総会でインドネシアがOPECから脱退しましたが、その理由は同国の石油輸出量が減少したためと言われています。2017年11月時点の加盟国は14カ国です。中東はサウジアラビア・イラク・イラン・アラブ首長国連邦(UAE)・クウェート・カタールの6カ国(2017年11月の原油生産量順)、アフリカはナイジェリア・アンゴラ・アルジェリア・リビア・ガボン・赤道ギニアの6カ国(同)、中南米はベネズエラ・エクアドル(同)の2カ国となっています。

 また、地域ごとのOPEC内の生産シェアは、中東が75.2%、アフリカが17.5%、中南米が7.3%となっています。(2017年11月時点)

 豊富に有する石油資源の価格の決定権を、当時世界を席巻していた国際石油資本(メジャー)から奪取することを目的として設立されたと言われています(1960年に設立)。1970年台に起きたオイルショックに深く絡みOPECは「石油カルテル」とも言われました。当時、原油市場は「OPECの時代」を迎えました。

 一方、2003年ごろからの新興国の台頭、2009年ごろからの世界的な金融緩和の流れの発生などにより、原油市場は大きく様変わりしました。また、2010年ごろにはじまった米国でのシェール革命により、米国の原油生産量が急増し、OPECの生産シェアを脅かすようになりました。

 OPECを取り巻く環境が大きく変化する中で、OPECの原油価格への影響度は以前よりも低下していると言われています。世界における原油の生産シェアは「OPECの時代」と言われた1970年代に最大で54.2%に達しましたが、2016年には44.1%となっています。(OPECのデータより)

 また、OPEC総会は6月前後と12月前後の年に2回、開催されます。最近の総会では、2016年11月の総会で減産を実施することを、2017年5月と11月の総会ではそれぞれ減産の延長を決定しました。総会で用いられる言語は英語です。11月の総会後、非OPEC諸国との共同会見にロシアの当局者が参加しましたが、英語への同時通訳が行われました。

 次回の総会は2018年6月22日(金)に予定されています(場所はウィーンのOPEC本部)。総会は臨時で開催されることもあります。

 現在、OPECはロシア等のOPECに加盟していない一部の産油国とともに合計24カ国で、世界の石油在庫(具体的には先進国の石油在庫)を減少させることを主な目的として、減産を実施しています(2018年12月まで実施予定)。OPECの存在意義とも言える世界の石油需給の安定化に寄与する行動と考えられます。