12月14日:緩やかに減速しつつも底堅く推移

 中国経済は2017年7-9月期から小幅の減速傾向を示している。住宅販売や自動車販売の低調、固定資産投資の軟化、過剰設備是正策・環境汚染対策を受けた供給サイドのひっ迫などが背景。不動産引き締めや金融レバレッジ(過剰債務)解消といった政策方針を受け、住宅販売や自動車販売、インフラ投資はここ2-3カ月ほぼ全面的に減速している。BOCIによると、中国政府はレバレッジ解消策、リスク防止策を18年も継続する方針であり、不動産、自動車販売、インフラ投資は一段の鈍化リスクに直面する可能性が高い。ただ、グローバル経済の回復やリフレーション・サイクル入りを受け、輸出は堅調を維持する見込み。BOCIは中国経済の失速の可能性に否定的であり、あくまで段階的かつ緩やかな減速傾向が続くと予想する。17年、18年の実質GDP成長率については、前年比6.8%、同6.5%との予測を明らかにしている。

 最新統計では1-11月の不動産販売面積が前年同期比7.9%増に減速(1-10月は同8.2%増)。販売額は12.7%増とほぼ横ばいだった。不動産開発投資は減速傾向が続き、1-11月に7.5%増(1-10月は7.8%増)。一方、着工面積や土地取得面積は加速傾向を示した。政府当局の不動産引き締めにより、主要都市(1線・2線)の住宅市場は減速傾向にあるが、3線以下の中小都市の住宅成約状況は相対的に堅調で、BOCIは住宅市場が中期的にソフトランディングするとみている。ただ、不動産締め付けは18年も続く見通しで、物件販売、不動産投資はともに緩やかに減速するとの見方。うち不動産投資については17年の前年比約7%増から、18年には3-4%増に鈍化するとみている。

 固定資産投資は1-11月に前年同期比7.5%増と1-10月の7.8%増から減速した。製造業投資が引き続き低調で、1-11月は前年同期比4.1%増。BOCIは17年通年で前年比4%増、18年に3.7%増を見込む。一方、インフラ投資は15.8%増とほぼ1-10月並みとなり、相対的に高い伸びを維持したが、中央政府が地方政府の債務増大やPPP(官民連携)プロジェクトに対して慎重姿勢に転じており、今後は減速圧力に直面する見込み。BOCIは17年に前年比14-15%を予想。18年には11%に下向くとみている。

 一方、小売売上高は堅調で、11月に前年同月比10.2%増(10月は10.0%増)。11日の「独身の日」に行われたネット通販の大型イベントが寄与した。中間所得層の消費が堅調で、消費アップグレードも顕著。ただ、今後は住宅販売の減速が響く可能性があり、BOCIは17年の前年比10.2%増から、18年には10.0%増へやや減速するとみている。

 また、鉱工業生産は10月の前年同月比6.2%増から、11月には6.1%増に減速した。環境汚染対策としての生産制限措置などが響いたもよう。中でも採鉱業が1.7%減(10月は1.3%減)と低迷した。今後は住宅および新車販売の軟化が影響するとみられ、BOCIはさらに緩やかな減速傾向が続くとみている。