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 大手旅行会社では、毎年アンケート調査などに基づいて『年末年始の旅行』の動向について発表しており、その時々の景気動向が反映され、消費や景気を読み解く参考にもなります。なかでもJTBの調査は、航空会社の予約状況、JTBの販売動向なども加えた推計で、1969年の調査開始以来、今年で49回目となっています。今年の調査は、11月2日~14日に、全国15歳以上79歳以下の1,200名を対象に行われました。

 

【ポイント1】年末年始の総旅行者数は前年比+1.0%

海外旅行者数は過去最高を更新、国内旅行者数も増加

■大手旅行会社JTBが発表した調査によると、2017年12月23日~2018年1月3日までの間に出発する旅行者の数は、前年比+1.0%の3,027万4千人と、前年から増加する見込みです。内訳をみると、国内旅行者数は同+0.9%の2,957万人と増加しました。また、海外旅行者数は同+2.8%の70万4千人と2年連続で増加し、過去最高かつ初の70万人超となりそうです。
■海外旅行者数は、これまで2013年が過去最高でした。2013年以降は、為替が円安に転じたことや国際情勢の影響などにより2015年まで減少しましたが、格安航空会社(LCC)の路線増加やカジュアルなクルーズ船による船旅など、国内旅行以外にも選択肢が広がり、旅行者数の増加につながったと見られます。

 

【ポイント2】国内旅行の費用は増加の見込み

割安運賃の増加等から海外旅行費用は減少

 

■昨年は国内・海外とも旅行費用が前年比で大幅に減少しましたが、今年は国内旅行費用が増加する見込みです。海外旅行費用は前年比▲0.4%とわずかに減少する見込みです。
■近年のLCC拡大など割安な航空運賃が増加していることや、アジアなど近距離志向の高まりにより、海外旅行費用は減少していると見られます。

 

 

【今後の展開】節約傾向は続くものの、年末年始は節約の度合いが緩みそう

■総務省の家計調査報告では、旅行に関する費用は節約傾向が見られます。JTBが実施した『年末年始の旅行』に関するアンケートでも、今後1年間は旅行支出を「増やしたい」との回答が前年から減少したものの、『年末年始の旅行』については「昨年よりもお金をかけて豪華に過ごす予定」との回答が10.2%と、「昨年よりもお金をかけず質素に過ごす予定」の6.6%を上回りました。家計の節約志向は続くものの、昨年よりも休暇が取りやすいことなどもあり、『年末年始の旅行』については節約の度合いが緩みそうです。