【今日のまとめ】
1. ビットコインは仮想通貨のひとつ
2. ビットコインは堅牢である
3. 分散型とは「広く配布する」というところから来ている
4. ビットコイン取引は暗号化によりガッチリ守られている
5. 過去取引は封印されるので改変できない
6. 検証作業をする人たちをマイナー(鉱夫)と呼ぶ
7. 「ビザンチン将軍コンセンサス」という手法で純正さを投票する
8. 発行スケジュールで2,100万コインと上限が決められている
ビットコインとは?
ビットコインは仮想通貨のひとつです。(*)
現在、世界には1,300種類を超える仮想通貨が出回っています。ビットコインはその中で古い方に属し、最初の取引は2009年に行われました。
ビットコインはたいへん堅牢に作られており、ハッカーからの攻撃に対して強いです。
ビットコインは堅牢な仮想通貨だ |
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但し、ビットコインをより便利に取引・保管する目的で、様々な付帯サービス業者が登場したのですが、その業者の中にはセキュリティが万全でない者もあり、その結果としてハッキング被害に遭い、ビットコインが盗まれるという事件が過去に何度か発生しています。これは業者の落ち度であり、ビットコインそのものの堅牢さとは無関係のリスクです。
なお仮想通貨の中には、しっかりしたものもあるし、そうでないものもあります。したがって全ての仮想通貨がビットコイン同様に堅牢だと決めてかからない方が良いです。
ビットコインの5大特徴
ビットコインには5つの特徴があります。このひとつひとつが大変重要なポイントですので、必ず覚えておいてください。
1) 分散型(distributed)であること
2) 暗号理論(cryptography)を使っていること
3) 改変できない(immutable)こと
4) 検証作業(Proof-of-Work)を用いる事
5) 発行スケジュール(Issue schedule)が決まっており、総数に上限があること
これらの条件を全て満たしているからこそ、ビットコインは見知らぬ相手とも安心して取引することが可能になっています。
分散型とは?
まず「分散型」の語源はdistributionから来ています。これは「配布する」という意味です。もっとざっくばらんな言い方をすれば、「欲しい人には、まるでパンフレットをばらまくように、誰にでもばらまきますよ!」という約束なのです。
それでは何をばらまくか? といえば、それは電子的な元帳(ledger)をばらまくのです。
元帳という表現は、番頭さんみたいなイメージがあって、何となくイメージしにくいと思います。たとえばマイクロソフト社の「エクセル」というソフトウェアは元帳のひとつです。
だからイメージとしては、取引があるごとに「エクセル」にカキコミし、それを希望者にばらまく様子を想像すればいいでしょう。
但し取引の当事者の事が誰にでもカンタンに読み取れてしまうとまずいので、この元帳は暗号理論を使って暗号化してあります。
「分散型」とは、広く配布するというところから来ている |
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暗号理論とは?
暗号理論とはAさんからBさんに情報を伝達する際、それが無関係な第三者に知られてしまわないように「かき混ぜる」方法論を指します。
つまり原文のメッセージに、あらかじめ決められた「かく乱するデタラメな情報」を混ぜ、それを受け手の側でていねいに「かく乱するデタラメな情報」を取り除くことで、オリジナルのメッセージを再現するわけです。
ビットコインの取引で、AさんからBさんへ送金される場合も、暗号理論により正しい受信者だけに届くように工夫されています。
そのようなビットコイン取引が、後に述べる検証作業により純正な取引だと確認されたら、複数のそれらの検証済みの取引をひとまとまりにして封印します。その際にも過去記録は暗号理論を使ってがっちり守られます。
改変できないとは?
さきほどの説明で、ある人から別の人へ送金されるビットコインは、それが純正な取引かどうかを第三者に検証してもらう必要があると述べました。そのようにして「承認待ち」の状態になっている複数のトランザクションのひとまとまりを「ブロック」と言います。
そして承認が降りたら、その過去記録は封印されるわけです。
過去記録は封印されるので後で改変できない |
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この封印が終わり、ウインナ・ソーセージのように数珠つなぎになった一連の取引記録を「ブロックチェーン(block chain)」といいます。つまり我々が仮想通貨で良く聞くブロックチェーン技術とは、このような方法で、過去取引記録が改ざんできないようにするシステムのこと全体を指すのです。
ブロックチェーンでは、新規の書き込み、つまり新しい取引の記録はどんどん追加できます。でも過去記録の消去(delete)は出来ません。
皆さんはコンピュータやスマホを使用する際、過去の不必要なデータをどんどん消去していると思います。このようにデジタルの世界では普通、消去作業はカンタンに出来ます。
だから「過去記録が消去できない」という、ブロックチェーンの特徴は、とてもユニークな特徴です。
検証作業とは?
普通ならカンタンに消去や上書きが出来てしまう「エクセルのような元帳」が、悪用されないようにするには、さらに特別な工夫が必要です。そこでビットコインの考案者、サトシ・ナカモトはコペルニクス的な発想の大転換をしました。
つまりひとつひとつの記載記録を「守る」のではなく、逆に新しい記載があるたびに、それを世界に広く配布する、ないしは、ばらまくことにより改ざんを徒労に終わらせる仕組みを考えたのです。
世界に広く配布された元帳の、ひとつやふたつを改ざんすることは出来るかもしれません。でもそれらの全てを先回りして改ざんすることは、とうていムリです。
こうして世界にばらまかれた取引記録には4つの変数が含まれます。それらは1)時間、2)取引のサマリー、3)その直前のブロックのアイデンティティー、4)ノンス(nonce)と呼ばれる「使い捨てのランダムな数字」です。
これらの数字をコンピュータで解析し、それが純正かどうかを「投票」により決定します。この作業をやる人たちのことをマイナー(鉱夫)と呼びます。なぜなら、一番速くこの作業を完了した正解者には、ご褒美として新しいビットコインが渡されるからです。その苦役が、ちょうど金鉱山でツルハシを振るう鉱夫のようであることから、この名称が生まれました。
この検証作業は5000にものぼる世界のあちこちのコンピュータによって行われています。その端末のことを「ノード(node)」といいます。そしてそれらのコンピュータがフル稼働して新しいトランザクションを処理しているさまを「フル・ノード」と表現します。
そしてこれらのコンピュータの過半数が「この取引は純正だ!」と判断した場合、それは過去記録として封印されてゆくわけです。この、稼働しているノードの過半数、すなわち51%を「足切り基準」として用いるやり方を「ビザンチン将軍コンセンサス(Byzantine Generals Consensus)」と言います。
ビザンツとはコンスタンチノープル(こんにちのイスタンブール)を中心とした東ローマ帝国を指します。
その東ローマ軍の部隊が、どこかの国で攻城戦を仕掛ける場合、各個に攻めると撃退されやすいです。そこでお城のあらゆる方向から、各部隊を指揮する将軍たちが、一斉に攻撃をかければ、全体としては勝つ公算が高くなります。つまり自分たちが勝てるチャンスを最大化するために、並み居る将軍たちの51%の賛同があったとき、攻め込むと言う風に了解したのが「ビザンチン将軍コンセンサス」なのです。
この手法は、今日の戦闘機、宇宙ロケット、潜水艦などのコンピュータにも採用されています。つまりそれらの中には複数個所に制御コンピュータが分散して配置されており、被弾するなどしてひとつやふたつのコンピュータが失われても、未だ壊れていないコンピュータが全員投票し、多数決で正しい判断結果を決めるのです。
発行スケジュールとは?
発行スケジュール(issuance schedule)とはビットコインがどういう風に新しく作り出され、流通するかを律しているきまりを指します。
ビットコインの総発行数の上限は2,100万コインと決められており、それ以上は絶対に発行できません。現在は、このうち1,674万コインが既に発行され、流通しています。
新しいビットコインはマイナーが検証作業を真っ先に完了した際にご褒美として発行されるのですが、そのご褒美のコイン数は時間の経過とともにだんだん少なくなるようスケジュールされています。2012年11月28日にご褒美は50個から25個に半減しました。そして4年後の2016年7月9日に25個から12.5個に半減しました。この次の半減は2020年7月の予定です。
こうして2140年には2,100万コインの上限に到達してしまうわけです。
このように供給が限られているということは希少価値を生みます。ちなみにドル、円、ゴールドなどには、このような供給制限はありません。
ビットコイン以外の仮想通貨は、独自の発行スケジュールを持っています。したがってその希少性は、それぞれの発行スケジュールによって変わってきます。
(*)厳密には「通貨」としてのビットコインに言及する際は小文字のbitcoin、それを駆動するソフトウェアに言及するときは大文字の頭文字でBitcoinと表記します。
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