11 月の新興株<マザーズ、ジャスダック>マーケットまとめ

 外国人による「(先物と)東証1部銘柄だけ猛烈買い越し」の10月相場の余韻は、11月も序盤まで続きました。ただ、11月9日に日経平均株価が2万3,382円のザラバ高値を付けたあと、唐突に急落。ここをピークに、日経平均は11月末にかけて、以前のようなレンジ相場に逆戻りしました。

 ピークを打った11月9日に向け、「日経平均に何か関与していないと乗り遅れる…」というような焦燥感が個人投資家にも広がり、日経平均のブルベア型ETFが商いをふくらませていました。例えば、売買が一番多い日経平均レバETF(1570)。11月9日には2252万株という今年最大の大商いになりました。ただ、原資産の日経平均がレンジ相場に戻ると、1日当たりの売買高で600万株程度に減少しています(ほぼ平常モード)。「動きが悪くなった日経平均には用無し」、そんな感じでしょうか。

 日経平均の上げがストップしてくれたことが、新興株市場にとっては朗報になりました。前月のコラムでも書きましたが、新興株は個人投資家の資金が集まらないと上がらない市場だからです(個人投資家がメインプレーヤーなうえ、空売り出来ない銘柄が多いため、エントリーのほとんどが「買い」になるため)。

 例えば東証マザーズ市場の売買代金でいえば、10月の1日当たり売買代金平均は953億円でしたが、11月は1052億円に増加しました。日経平均を舞台としたラリーは、一旦11月9日に収束しています。11月1日~8日まで、マザーズの1日の売買代金が1000億円を超える日はありませんでした。それが、11月10日~30日までの14営業日のうち、実に12営業日で1000億円を超えています。確実に個人投資家が新興株に戻ってきた!といえます。戻ってきた投資家は基本買いから入るわけで、指数も上がります。11月9日を100として、11月末時点の日経平均が99.3だったのに対してマザーズ指数は103.0。マザーズが当然のようにアウトパフォームする環境へ変化しました。

 日本というのは、面白い国です。日経平均の上昇を「株高」のシンボルとしますが、日本の投資家は日経平均の上昇で盛り上がるわけではない・・・むしろ、日経平均の動きが止まり、マザーズなど新興株が動いたほうが都合がいい、これはまぎれもない真実です。

 買い残の信用評価損益率のデータを見ても、実証できますね。日経平均がガンガン上げ、ピークを付けにいった11月第2週がマイナス8.80%。ちなみに、今年の平均値がマイナス8.2%。日経平均が26年ぶり高値を付ける過程で、信用評価損益率が改善していく(投資家の心理が上向く)形跡は全くもって無かったわけです。その日経平均がピークを打ち、マザーズが上がり始めた11月第4週にマイナス8.41%に改善していました(笑)。

11月の売買代金ランキング(人気株)

  11月は売買代金ベースで、これといった新興市場をリードした銘柄はありませんでした。例えば、売買代金25日移動平均で10月トップだったPKSHAは、1日当たり売買代金は50億円まで激減(10月は187億円)。新興株は「売買の減少=下落」ですので、案の定ですがPKSHAは月間で13.5%下落しています。トップは時価総額の大きいそーせいの60億円程度でした。

 資金の一極集中ではなく、ある程度物色が散らばりつつ、新興株全体が持ち上がったのが11月相場といえそうです。とはいえ、明らかにバブル化していた銘柄も出てきました。今回の売買代金上位にも、先月度肝を抜いた謎の外食株バブルの形跡、残していますね(笑)。

 なお、売買代金上位20の中では、ミクシィ、アエリアなどゲーム株が月間で下落しています。11月8日の決算発表に向けて買い上がられていたミクシィは、決算発表翌日に一時11%高。この急騰日と日経平均の天井形成が重なりましたが、この日がバイイングクライマックスといった雰囲気に(典型的な決算プレー)。さらに、ゲーム株全体に逆風となったのが、11月15日のアカツキのストップ安。アカツキが手掛ける国民的スマホゲーム「ドラゴンボールZ ドッカンバトル」のゲーム内で、ガチャ(このゲームでは「ガシャ」)でのキャラ出現確率が誤表示されたことがきっかけでした。アカツキの売り材料でしたが、「ガチャ表記などでさらに規制が広がるのでは?」といったネガティブ思考から他のゲーム株にも売りは連鎖。この問題は収束しましたが、一度悪化した需給はすぐには戻らず・・・とばっちりですが、新興株は「需給が命」をよく表しているような気がします。

市場 銘柄コード
銘柄名

11月末
終値

時価総額
(億円)
売買代金
25日移動平均値
(億円)
月間
騰落率
(%)
東証マザーズ 4565
そーせい
11,000 2095 60.2 6.0
東証マザーズ 3993
PKSHA
11,030 1410 50.0 -13.5
東証マザーズ 3547
串カツ田中
6,930 626 48.3 85.1
東証マザーズ 2160
ジーエヌアイ
583 784 41.7 10.6
ジャスダック 4316
ビーマップ
2,797 90 39.0 63.9
東証マザーズ 3267
フィルカンパニ
4,000 203 38.2 103.8
東証マザーズ 6166
中村超硬
6,330 296 36.5 38.1
東証マザーズ 2497
UNITED
3,720 881 34.7 3.2
東証マザーズ 6555
MSコンサル
1,200 55 34.6 -21.2
東証マザーズ 2121
ミクシィ
5,220 4084 30.7 -5.4
東証マザーズ 3652
DMP
7,690 212 28.8 51.4
東証マザーズ 4597
ソレイジア
427 375 28.4 21.3
東証マザーズ 3561
力の源HD
2,182 498 25.7 91.4
ジャスダック 6629
テクノHR
482 102 24.5 33.9
ジャスダック 6324
ハーモニック
7,110 6737 23.3 20.9
ジャスダック 6918
アバール
2,830 210 22.5 42.9
ジャスダック 2702
マクドナルド
4,905 6522 19.5 0.7
ジャスダック 6864
NF回路
2,690 170 19.1 40.8
ジャスダック 6890
フェローテック
2,210 818 19.0 -4.7
ジャスダック 3758
アエリア
1,510 290 18.5 -20.1
 

売買代金ランキング(5銘柄)

1 串カツ田中(3547・東証マザーズ)

 月初こそ大幅安で始まった串カツ田中。毎月、「第3営業日の午前11時頃」に前月分の月次動向を発表しますが、6日に発表した10月分は既存店が前年同月比5.3%減でした。5カ月ぶりのマイナスを嫌気して大きく下げます。
ただ、決算期末が近付いていた15日、未定だった今期末の期末配当の実質5円増配を発表。さらに、11月末を割当日とした株式の3分割もセットで発表し、なぜかこれに投資家が熱狂します。この日に15%高すると、そこから月末30日高値の7480円(分割考慮後)まで爆騰。「上がるから買う」「買いが買いを呼ぶ」、ただそれだけでしょうが「忘年会需要への期待で」など、とって付けた理由も流れつつバブル化しました(ちなみに12月に入った途端、暴落)。なお、串カツ田中が11月30日時点で付けたピーク時価総額は675億円で、PERで225倍・・・この時点の鳥貴族の時価総額約360億円を逆転していたでけでなく、居酒屋チェーン大手ワタミの約650億円も抜いていました・・・。

2 中村超硬(6166・東証マザーズ)

中間決算のサプライズで上放れに成功しました。10日に発表した中間期決算で、営業利益が会社計画の4億円を大幅超過する6.94億円に。当然のように、通期予想も上方修正しますが、こちらで下期さらに利益の拡大ペースが加速することを投資家に示しました。従来予想の8億円を15億円に大幅増額。バリュエーション面で一気に割安化した分を埋めるように買いが集まりました。
昨年末の終値が1240円、11月高値が6940円ですので、実に年初来では5.6倍に。昨年付けた上場来高値6110円をようやく上回ったことで、“新値ブレイク”銘柄を買うタイプの個人投資家層の買いもかなり呼び込んだものと推測されます。

3 UNITED(2497・東証マザーズ)

前月にフリマアプリの“メルカリ関連”として、「そろそろIPOか?」を先取り大幅高していた銘柄。それが11月に入って早々、ハシゴを外されます。一部メディアがメルカリの年内計画していた東証への上場が延期濃厚になったようだと伝えると、事前に期待で買っていた向きが一斉に売りに回り、6日にストップ安(17%安)。ただ、その後はスマホゲーム「クラッシュフィーバー」の全世界ダウンロード数900万突破などを好感した買いも入り、結果的には往って来い(↓↑)に。

4 テクノホライゾン・ホールディングス(6629・ジャスダック)

10月末に発表した今期業績の上方修正を受け、11月は月初いきなりストップ高(22%高)に。今期の営業利益予想を5億円から8億円に、純利益を2億円から4億円にそれぞれ大幅増額。固定費削減などが理由ですが、EPS(1株当たり利益)倍増でPERが10倍台に低下。割安化したとも言えなくはないですが、買われた理由はチャート妙味と低位株だからでしょうか・・・。

5 アバールデータ(6918・ジャスダック)

 11月13日時点の25日移動平均売買高は約7万株。普段ほとんど売買されない銘柄に材料が来るとこうなるのか・・・を体現したような動きでした。14日付の一部朝刊で、データを検索する速度が従来の数千倍になる新型プロセッサーを開発すると報じられたことを受け、同日は15%高。
前述の通り、普段7万株程度しか売買されない株が、14日の売買高は321万株、翌15日は490万株に激増したわけです。そもそもアバールを持っていなかった投資家のエントリーなので、出来高の増加は上昇要因。ただ、元は1日の出来高7万株程度の閑散株です。高水準の出来高を維持できなくなったときには、上昇時以上の速さで下げる宿命にもあるといえそうです。

11月の株価値上がり率ランキング

 11月の値上がり率ランキングは、東証マザーズ市場が活気づいたこともあり、マザーズ銘柄が9銘柄もランクイン。11月に入って急に買われたジャスダック銘柄には、仕手色の強い買われ方をしていた銘柄も混じっていますので、そこはノーコメントとします。

 月間で5割強も上げるような株は、新興株といえどもいずれも小型株。10月末時点で時価総額500億円を超えていた銘柄はありませんでした。品薄株に短期集中型で入る数億円の買い資金が株価を変貌させる、「マネーゲームの結果としてこうなった」的な要素が強すぎるようにも思います。

 なお、前月10月に値上がり率トップ20に入った銘柄のうち、11月もトップ20に入ったのは前田製作所、串カツ田中の2銘柄だけ。11月に人気化した新興株から、12月の上昇株を探すというような虫のいい話は無さそうですね(2カ月も人気が持続するケースはまれなため)。

市場 銘柄コード
銘柄名
月間騰落率(%) 11月末終値 前月末終値 時価総額
ジャスダック 1730
麻生フオーム
168.5 953 355 32.6
ジャスダック 3370
フジタコーポ
142.4 2,085 860 30.2
東証マザーズ 3267
フィルカンパニ
103.8 4,000 1963 202.8
東証マザーズ 4584
GTS
98.7 2,430 1223 232.5
ジャスダック 6281
前田製
93.2 1,920 994 309.1
東証マザーズ 3561
力の源HD
91.4 2,182 1140 498.0
東証マザーズ 3547
串カツ田中
85.1 6,930 3743 625.6
ジャスダック 6867
リーダー電
79.8 730 406 30.6
東証マザーズ 6533
オーケストラHD
77.4 2,300 1297 97.3
ジャスダック 3417
大木ヘルケア
76.1 1,590 903 223.7
ジャスダック 9734
精養軒
71.3 1,619 945 42.5
ジャスダック 2778
パレモ・HD
64.5 607 369 73.2
ジャスダック 4316
ビーマップ
63.9 2,797 1707 90.1
東証マザーズ 9467
アルファポリス
61.0 1,980 1230 95.9
東証マザーズ 3135
マーケットエンタ
59.9 1,020 638 51.9
ジャスダック 2173
博 展
59.2 1,033 649 39.8
ジャスダック 2425
ケアサービス
58.0 1,610 1019 67.6
東証マザーズ 6095
メドピア
56.5 1,003 641 87.6
ジャスダック 2776
新都HD
55.7 179 115 16.1
東証マザーズ 3623
ビリングシス
55.0 11,300 7290 185.4

 

値上がり率ランキング(5銘柄)

1 フィルカンパニー(3267・東証マザーズ)

 空中店舗フィル・パーク事業(駐車場の上部にある空きスペースの有効活用を土地オーナーに提案する同社独自のビジネスモデル)の拡大を期待した買いが殺到し、空中戦へ・・・。
浮上のきっかけは、日本郵政の投資子会社である日本郵政キャピタル、運用会社いちごと資本業務提携を締結したと7日に発表したこと。発表前1843円だった株価は、翌8日は値幅制限いっぱいの2243円で買い気配のまま終了。9日に全株一致したのが2443円で、そこから27日高値5080円まで急騰しました。
 2社から調達した資金は6億円強で、その資金は空中店舗フィル・パークの建設費用などに充てるようですが、とはいえ株価のオーバーシュートは相当なもの。9日の全株一致の段階で上場来高値をブレイクしたこともあり、短期の順張り資金が薄商いの株に殺到したという需給的な側面が強いと思われます。

2 GTS(4584・東証マザーズ)

 11月初旬、後発薬の「バイオシミラー」について、国内フェーズ3(臨床試験)を開始したと発表。有望パイプラインの前進を受け、月末まで上昇し続けた裏に「機関投資家の存在もあったのでは?」と感じる(11月の値上がり率トップ20内では)唯一の銘柄にも思われます。
同社については、みずほ証券がカバレッジ対象としています。そのみずほ証券が、28日付レポートで目標株価を2180円から3640円に大幅アップ。「バイオシミラー」が承認されれば、「成長ドライバーとして世界に羽ばたくと期待できる」と指摘していました。

3 力の源ホールディングス(3561・東証マザーズ)

 着火のきっかけは9日場中の決算発表。中間期の決算発表と合わせて、通期予想を大幅に上方修正。増配も発表しましたが、それ以上に刺激材料になったのは、立会外分売の実施(予定株数47万株)も発表したからでしょうか。新興株が立会外分売の実施を発表すると、株主数増加で「東証1部に近いうち昇格できるのではないか」なる期待が、期待といえるレベルを超越して膨らむことがあります。
また、力の源HDについても、ペッパーや串カツ田中と外食株の爆騰が相次いだことで、値動きのいい外食株がブーム化していた地合いも追い風になりました。需給的には、3月の上場直後に付けた上場来高値1827円(株式分割考慮後)をブレイクしたこともあって、短期の順張り型資金が殺到したこともオーバーシュートの原因といえそうです。本当に、“新値ブレイク”を狙う個人投資家が多くなっています。

4 精養軒(9734・ジャスダック)

 明治5年に設立された由緒ある「上野精養軒」。店舗展開する12店舗中、7店舗が上野公園にあり、場所的に近い観光スポットの上野動物園の来場者が増えそうな話題(ほとんどがジャイアントパンダの話題)があると買われる、ことで知られる銘柄です。
 今年6月にジャイアントパンダの「シャンシャン」が誕生。そのシャンシャンの一般公開を「12月19日」から始めると東京都が発表したことを受け、連日急騰しました。精養軒でも、シャンシャン公開決定を記念したオリジナルパンダグッズを販売するそうです。
ちょうど新興株が活気付いていたことも手伝い、理解の範疇をはるかに超える急騰劇に発展。この大騒動を受け、11月の月間売買高は83万5500株になりました。これ、過去30年分調べましたが、月間売買高として最高です…。

5 マーケットエンタープライズ(3135・東証マザーズ)

 20日に593円だった株価は、4日連続のストップ高を挟み、28日の高値1490円まで大変貌しました。きっかけは、ヤフーが運営する「ヤフオク!」の新サービス(「カウマエニーク」)で、ヤフー、ブックオフコーポレーションと連携することを20日に発表したため。
“買う前に(売り)に行く“をコンセプトに掲げた「カウマエニーク」。フリマアプリで勢力を強めたメルカリへのヤフーの反撃、と注目されたサービスへの関与を期待した買いが品薄株に殺到しました。4日目のストップ高を買い向かった投資家も、“買う前に(売り方は考えず)に行く”感じでしたが・・・。

12月に注目したい新興株の動き

 12月に入り、露骨なリターンリバーサルが展開されています。株でいえば、世界同時株高の世界同時逆流。今年凄まじいパフォーマンスとなった米国のハイテク株が下げ、日本でも半導体株など大きく下げる大型株が出てきています。

 その引き金には色んな説がありますが、話題になったのは11月最終週に米銀のゴールドマン・サックス・グループのレポートでした。強気相場で高く押し上げられた株式などのバリュエーションに警戒感を示し、「楽しいことは必ず終わりが訪れる。弱気相場がやがて訪れるだろう」と警告。また、今月3日には国際決済銀行(BIS)も四半期報告で、株価のバリュエーションが「泡立っているように見受けられる」と指摘しました。

 株価が上がっているとき(楽しいとき)というのは、バリュエーションは軽視され、投資家はモメンタム(勢い)を重視します。ただ、そのモメンタムが一度途絶えると、急に投資家は冷静になり、バリュエーションを気にし始めます。前述の米銀やBISの指摘が、冷静になれと背中を押した可能性があります。

 日本にもこの雰囲気が持ち込まれたように思います。正直、日本の半導体株が割高とは思いませんが、やはり、新興株の中には11月にモメンタムフォロワー達を熱狂させ、超割高化していた銘柄(泡立ち過ぎていた銘柄)はありました。そこにタイミング悪く、12月4日に(11月の売買代金ランキング、値上がり率ランキング両方で上位にランクインしていた)串カツ田中に対して東証が信用規制をかけました。串カツ田中が同日にストップ安したことも引き金に、利益確定を急ぐムードは伝播していきました。これまで人気化した銘柄で、かつ含み益の銘柄については、利益確定売りを急ぐ動きが収束するのを待つほかありません。

 では、出遅れている新興株がいいのか?といえば、そうでもないのが12月。足元こそ地合いは悪化していますが、今年は年初から11月末までに個人投資家が約5兆円売り越しています。何といっても、日経平均株価が一時的とはいえ26年ぶり高値をとった年。多くの個人投資家が、実現損益は「実現益」に偏っていると推測されます。

 そうした個人投資家が、例年12月にとる行動は「損出し」です。手持ちに含み損の状態で持っている銘柄がある場合、このタイミングで実現損を計上すれば、利益を圧縮できます。いわゆる″節税対策売り“ですね。では、何を売るか?となれば、やはり年初来で現状マイナスの銘柄(新興株でいえば、そーせい、メタップス、サイバーダインなど)、もしくは人気化していた当時、高値で買って売れずに手元にある銘柄(ドリコム、インフォテリア、ソレイジアなど)。この時期的な需給要因を無視し、テクニカル分析などで逆張りで買うのは不利だと思います。

 それでも何か買いたいという投資家は、手アカが少ない銘柄の中から、値動きが生まれたところに群がるでしょう。そういう意味で、12月におあつらえ向きな存在がIPOになります。12月12日以降、12月IPOが続々と登場します。今年の予定社数は22社と、昨年より8社も増加。そのうち、新興株は東証マザーズに9社、ジャスダックに3社です。

 どれかがスターになる・・・スターというのは、初値が高騰した銘柄という意味ではありません。来年も上昇を続けるような新興株という意味です。今年でいえば、昨年末に比べ、株価が一時8倍になったグレイステクノロジー。グレイスは昨年の12月IPOです。また、12月はIPOが集中することで初値買い資金が分散します。結果的に、初値の上昇が抑えられる銘柄も出てきます。昨年12月IPOでは、初値が公開価格比で5%しか上がらなかったMS-Japan。初値2200円に対し、今年右肩上がりで上昇し、高値で5800円を付けました。来年のスター候補を12月IPOから探す・・・これが12月の新興株投資の醍醐味です。