7月相場入りとなった先週の国内株市場ですが、週末7月7日(金)の日経平均終値は19,929円となり、節目の2万円台を下回りました。週足ベースでも2週連続の下落です。

(図1)日経平均(日足)の動き(2017年7月7日取引終了時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

早速、足元の状況を上の図1で確認してみます。

前回、サポートとして機能してきた25日移動平均線に注目し、日経平均が再び25日移動平均線から上放れする上昇を見せて、「25日移動平均線から上放れて調整」というリズムを繰り返すことができるかがポイントと述べましたが、先週の値動きを辿ると、取引時間中に2万円台を下回るも終値で取り戻す展開が週の半ばまで継続したものの、週末にかけては維持できず、結局、7日(金)に25日移動平均線を下回る展開となりました。これまでの相場のリズムが崩れつつあり、いわば夏風邪を引いたような印象になっています。

そのため、今週は日経平均が再び25日移動平均線の水準を回復できるか、2万円台を維持できるかが焦点になりますが、米雇用統計後の米株市場の上昇や、欧米の金融政策の引き締め方向と日銀の指値オペによる金利差拡大観測の円安進行、本格化しつつある国内企業決算シーズンを前にした業績期待などもあり、相場環境面では夏風邪からの回復はさほど難しくないと思われます。実際に、週明け7月10日(月)の取引は2万円台を回復してスタートしています。

ただし、チャートの形では下方向への意識の方が強いと言わざるを得ません。まずは、ローソク足に注目してみますと、6月29日~6月30日にかけて空けた「窓」を7月4日のローソク足が埋めた格好になっていますが、大きめの陰線になっています。買い上がっての窓埋めではなく、一段高で始まり、売りに押された結果によっての窓埋めですので、形としては弱くなっています。また、移動平均線も5日移動平均線が25日移動平均線を下抜ける「デッド・クロス」が出現しています。

さらに、足元では上値と下値がともに切り下がっているため、短期的な下落トレンドを感じさせる格好になっています。そのため、上値トライのハードルは高いと言え、今週は戻りの強さも試される週でもあります。直近の高値をどこまで回復できるかが、相場の強さの目安になります。ちなみに、週末はオプション・mini先物のSQが控えているため、オプション取引で売買の多い、権利行使価格250円刻みである、19,750円、20,000円、20,250円20,500円の水準が値動きの目処になりやくなりそうです。

とはいえ、長引いてしまうと怖いのが夏風邪の特徴でもあります。下の図2は、日経平均の平均足(上段)とMACD(下段)の推移です。

(図2)日経平均(日足)の平均足とMACD(2017年7月7日取引終了時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

足元の平均足は陰線が続いているほか、MACDもシグナルとのクロスが出現して以降、下方向への傾きが出始めています。MACD全体の動きを見ましても緩やかに下向きになっています。

MACDは、「短期と中期の(平滑)移動平均線の価格差」の推移を表す線です。一般的に相場にトレンドが発生する際、短期の線が先に反応し、中期の線が遅れて動き出します。上の図2でも、4月半ばからの日経平均の上昇局面においてMACDも大きく上昇していますが、強いトレンドが発生したときは、短期線と中期線との価格差が拡大していくことが判ります。

ただ、足元のMACDは徐々に下方向になっています。つまり、短期線と中期線の価格差が縮小し、トレンドの勢いが衰えていることを意味します。そして、価格差が無くなる0円は、短期線と中期線のクロスとなり、このままマイナスに沈めば「デッド・クロス」になります。先週末(7日)時点でのMACDは100円を下回っていますので、0円が意識されつつあり、相場基調の軟化シナリオも浮上しつつある点には注意が必要です。

最後に、日経平均の平均足とMACDを週足でも見てみます。

(図3)日経平均(週足)の平均足とMACD(2017年7月7日取引終了時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

週足の平均足では、直近まで上昇基調だった日経平均が伸び悩んで勢いを失いつつあるような印象になっていますが、まだ上昇トレンドは継続している状況です。今後、週足でも陰線が増え、MACDとシグナルがクロスする状況になると、下落基調がしばらく続く可能性が高まります。

今週は、相場の夏風邪に対して早めの対処が求められていると言えそうです。