前日(12月08日)の市場概況

ドル/円:雇用統計発表後は、やや伸び悩む

 先週金曜日に発表された米国の11月雇用統計は、製造業と小売業の雇用が順調で、NFP(非農業部門雇用者数)が予想を上回る+22.8万人に増加しました(予想+19.5万人)。一方で平均労働賃金の伸び率は、前月比、前年比ともに予想を下回り、さらに前回分も下方修正。失業率は4.1%で横ばいでした。

 雇用統計で米経済が順調であることを確認して、ダウ平均株価は過去最高値を更新。FOMC(米連邦公開市場委員会)は今週利上げを実施することになります。

 反面、失業率は下げ止まっているのは、米国の労働市場がほぼ飽和状態であることを示唆しています。来年度の米利上げが、現在織り込まれている3回より多くはならないとの見方もあります。

 この日のドル/円は、113.07円を安値に、日経平均の大幅続伸を追い風として、11月14日以来の高値となる113.58円まで上昇。しかし雇用統計発表後もこの高値を抜けることができず、113円前半に押し戻される場面もありました。終値は113.474円(前日比+0.383円)。(チャート1)

ポンド:セル・ザ・ファクト

 ブレグジット交渉で、英国とEU(欧州連合)が基本合意に達したことを好感したポンド/ドルは、欧州時間朝に1.3519ドルまで買われました。ただ、その後は材料出尽くしの売りが優勢となって、NY時間には1.3355ドルまで大きく下落。(チャート2)

 ポンド/円は、153.40円まで上昇して昨年6月の英国民投票以来の高値を更新したあと、151.63円まで反落しました。(チャート3)

 英国のEU離脱交渉は第2フェーズに進むことになりました。次は通商と移行期間が焦点になります。完全離脱までの移行期間の延長は、英国に時間の余裕を与えることになり、英経済にとっては大きなプラスとなります。景気が上向くことでBOE(英国中央銀行)の利上げサイクルが強まることも考えられます。

 とはいえ、交渉はこれまで以上に厳しく複雑になるといわれているので、楽観はできません。中期的なポンドの視界は不明瞭なままです。