グループ内の利益衝突回避へ姉妹会社を全面買収、当面の影響は中立的か

現地コード 銘柄名
01829 中国機械設備工程
(チャイナ・マシナリー・エンジニアリング)
株価 情報種類
 5.10HKD
(11/29現在)
 株価
 企業情報
 チャート

  中国機械設備工程はIPO目論見書で約束した通り、親会社の中国機械工業集団有限公司(SINOMACH)から、電力・エネルギー関連プロジェクトの請負事業を手掛ける中国電力工程有限公司(CNEEC)の権益100%を取得すると発表した。海外の電力プロジェクトを中心に、自社と事業内容が被るCNEECを買収することで、グループ内の利益衝突を回避するのが目的。買収額は19億8000万元で、全額現金で支払う。BOCIはCNEEC買収による中国機械設備工程への影響を中立的とし、手許現金の点からはポジティブ、株価バリュエーションの点からややネガティブになるとの見方。同社株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 中国機械設備工程にとって、CNEECの全面買収は香港証取に上場して以来の大型取引。もともとIPOを通じた資産調達の目的の一つは「親会社から姉妹会社を買収する」ことにあり、今後も親会社からの資産取得が続く可能性が高い。SINOMACHの全資産を上場対象資産とするのが、最終的な目標になるという。ちなみにSINOMACHは機械設備の貿易会社を複数傘下に抱えており、総資産ベースでは国内最大の機械設備グループ。ただ、資産の質や収益性の点では他グループに劣るのが現状とされている。

 中国機械設備工程は今回、CNEECの買収代金を全額現金で支払うが、同社の手元現金は184億元、ネットキャッシュは103億9000万元。BOCIは買収額がネットキャッシュの19.1%に相当する点を指摘し、連結バランスシート上の現金残高に対する影響は限定的としている。

 一方、買収価格はCNEECの2016年実績PERで40.5倍に当たる水準であり、16年PBR(株価純資産倍率)では1.9倍に相当する。BOCIはこの価格水準を割高としながらも、株主資本や利益規模の小さいCNEECが、多額の現金(16億元)を保有することに言及。この点を考慮すれば、適正価格に当たると付け加えている。CNEECの株主資本は17年10月時点で9億6050万元。純資産評価額は19億9600万元。北京に保有するオフィスビルの値上がりが資産評価額の増大に寄与した。

 BOCIによると、CNEEC買収による中国機械設備工程の純利益、EPSへの影響は軽微であり、ネットキャッシュへの影響も限定的。買収後の1株当たりネットキャッシュは2.43元と、取引前の2.52元から小幅の低下にとどまる。その半面、買収により、純利益率やROEといった一部財務指標は悪化する可能性が高い。CNEECの純利益率(16年1.2%、17年予想1.0%)、ROE(同4.7%、同3.8%)が中国機械設備工程を大きく下回ることが理由。中国機械設備工程の17年の純利益率、ROEは買収完了後に7.7%(買収前8.9%)、11.6%(同12.0%)に後退する見通しという。ただ、BOCIは同社の目標株価を据え置き、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。