11月27日:2018年もレバレッジ解消や供給側改革などが焦点、GDP成長率6.5%を維持か

 中国経済は世界経済の回復トレンドや金融刺激策、「供給側改革」を受け、2017年に予想以上に堅調に推移したが、政府指導部は10月の第19回党大会で、不動産引き締めとレバレッジ(過剰債務)解消策を継続する方針を確認しており、今後は減速圧力に直面する可能性が高い。それでも、BOCIは2018年のGDP成長率が前年比6.5%を維持するとの見方(2017年、2018年、2019年の予想成長率は各6.8%、6.5%、6.3%)。世界経済の回復傾向の持続や供給側改革の継続、消費アップグレードなどをその理由としている。

 世界経済の回復は中国にとって、金融政策の正常化(従来比で引き締め方向への調整)を進める上で緩衝材としての役割を果たしている。中期的には一段の金融引き締めによる不透明感が存在するものの、短期的には世界経済の回復持続が寄与する可能性が高い。

 中国の輸出はやや減速しつつも、安定増を維持する見込み。BOCIは2017年、2018年の輸出伸び率を前年比7.2%、6%と予測している。対照的に、輸入は17年の同16.4%増から、2018年には8%へ大きく鈍化する見通しという。

 一方、不動産引き締めが続く中、2018年には住宅販売面積が前年比5%落ち込むとの見方(2017年予想は7%増)。数カ月のタイムラグを経て不動産投資も減速するとみて、2018年に同3-4%増との予測を明らかにしている。また、インフラ投資はこれまで中国経済の安定成長に寄与してきたが、中国政府はここに来て地方政府/国有企業の債務を抑制する姿勢を鮮明にしており、BOCIは2017年の前年比14.5%増から、2018年には11%増に減速するとの見方だ。製造業投資に関しては、供給側改革や産業構造の高付加価値化を背景に、2018年に3.5-4.0%の安定増を見込む。

 物価に関しては、BOCIはCPI(消費者物価指数)上昇率が2017年の前年比1.6%から、2018年には2.5%に加速すると予想。リフレーション(デフレーションを脱しながらもインフレには至っていない状態)プロセスが進むとみている。食品、石油価格の上昇とサービス価格の値上がりが背景。ただ、PPI(生産者物価指数)上昇率は17年の6.2%から、3.3%に減速する見通しという。

 第19回党大会では、経済政策の焦点を「高成長」から、「構造シフト・改革・開放を通じたバランスの取れた発展」に移行させる方針が明らかになった。向こう3年間の最優先任務はシステミックリスクの抑制、貧困エリアの発展、環境汚染対策だが、ほかに供給側改革や技術イノベーション、産業アップグレード、消費拡大、サービス業発展などに照準を合わせる方針。また、政府は2018年も中立的な金融政策を維持し、レバレッジ解消策、規制強化を継続する可能性が高い。BOCIはマネーサプライM2伸び率が17年末の前年比8.5%から、2018年末には同8.2%に減速すると予想。人民元の対米ドル相場については、2017年末に1米ドル=6.6元、2018年末には6.4-6.5元を予想している。