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『ベージュブック』は、米国に12ある地区連邦準備銀行(地区連銀)が、管轄地域の経済状況をまとめた「地区連銀経済報告」のことで、表紙のベージュ色が名前の由来です。『ベージュブック』は、年に8回開催される連邦公開市場委員会(FOMC)の2週間前の水曜日に公表され、金融政策の判断材料として用いられます。今回は景気拡大が続くなか、労働需給が逼迫しつつあることが報告されました。

 

【ポイント1】経済活動に関する評価は、「緩やか、ないし緩慢なペースで拡大」

前回10月とほぼ同様の評価

■11月29日に公表された最新の『ベージュブック』は、「全米12の地区連銀からの報告によれば、10月から11月中旬にかけて経済活動は “緩やか、ないし緩慢”なペースで拡大」と総括しました。10月18日に公表された前回報告と、ほぼ同じ評価です。将来の見通しは、わずかながら改善しました。

 

【ポイント2】逼迫する労働需給

価格転嫁の動きも散見、賃金上昇圧力も強まりつつある

■内容を詳細に見ると、個人消費は“まちまち”との評価でしたが、年末商戦の見通しについては楽観的でした。
■製造業は、緩やかな拡大を続けました。先行きの見通しも、総じて良好です。非製造業では、特に輸送業の好調が目立ちました。銀行に対する資金需要は堅調ないし、やや強めでした。
■労働市場では、需給逼迫との指摘が増えてきました。賃金上昇率は “緩やか、ないし緩慢”でしたが、人材の流出を回避するため、賃上げ、特別賞与や賃金外給付の拡充を余儀なくされているとの報告も多く見られました。
■物価は、ハリケーンの影響もあり、前回報告時に比べ上昇圧力が高まりました。原材料価格の上昇が最終財価格に転嫁されているとの報告も、散見されます。

 

【今後の展開】緩やかな利上げ継続の見通し

■今回の『ベージュブック』は、景気拡大の持続に伴い賃金・物価上昇圧力が高まりつつあることを示す内容でした。12月12日~13日に開催される次回FOMCでは利上げが実施されると考えられます。
■来年も利上げは継続される可能性が高いと考えられます。ただし、インフレ率の水準が依然として低いため、利上げの速度は緩やかなものになると予想されます。