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船舶の『環境規制』が強化される方向にあります。「船舶バラスト水規制管理条約」が今年9月8日に発効しました。また2020年には船舶が排出するガスに含まれる硫黄分の規制も強化されます。こうした『環境規制』強化は、コスト増要因となる一方、新たなビジネスチャンスをもたらします。ここでは関連する海運、造船業界などへの影響などをみていきたいと思います。
【ポイント1】「船舶バラスト水規制管理条約」が発効
目的は生態系の破壊の防止
■「船舶バラスト水規制管理条約」は2004年に国際海事機関により採択され、昨年9月8日に発効要件を満たしたため、今年9月8日に発効しました(既存船については最終対応期限は条約発効後7年以内)。
■バラスト水とは、船舶の船底に積む重しとして用いられる水です。船舶が空荷で出港する時、海水などが積み込まれ、貨物を搭載すると排出されます。バラスト水に含まれる生物が本来の生息地でない場所で排出されることによる生態系の破壊を防止することが目的です。
【ポイント2】『環境規制』は老齢船の廃棄を促す
市況の回復や受注増要因に
■海運業界は、鉄鉱石などを運搬する不定期船の運賃指数であるバルチック海運指数が高値から一時90%以上下落するなど、船腹過剰が問題となっています。『環境規制』強化は、バラスト水処理装置の設置や排ガスの硫黄分規制強化への対応など一時的には費用増となります。一方で費用が回収できない老齢船のスクラップが進み船腹過剰の解消要因となり、中長期的には海運各社の業績改善要因になるとみられます。
■造船業界は、世界的な造船不況から深刻な受注の減少と低船価に悩まされてきました。今回の『環境規制』強化により、バラスト水浄化装置を搭載する工事の受注拡大に加えて、中長期的には、船舶のスクラップが進み、受注船価の回復や新造船の受注が増加することが期待されています。
【今後の展開】『環境規制』は更に強化される方向
■『環境規制』は今後更に強化される方向にあり、中長期的に運賃や船価の市況改善を促していくとみられます。国内の造船企業は、受注低迷に加えて韓国、中国企業に比べると事業規模が小さく、企業再編機運が高まっていました。今後の『環境規制』に伴う受注回復予測に楽観せず再編が進み、企業収益や競争力改善につながっていくことが期待されます。
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