政府当局がインフラ投資政策を見直しか、引き締めの兆しで新規受注も低調

現地コード 銘柄名
01186 中国鉄建股フン有限公司
(チャイナ・レールウェイ・コンストラクション)
株価 情報種類
 8.95HKD
(11/22現在)
 株価
 企業情報
 チャート

  中国政府当局が地方政府のインフラ建設プロジェクトに関し、認可をペースダウンさせるなどの慎重姿勢に転じている。BOCIによると、国務院国有資産監督管理委員会(SASAC)と国家発展改革委員会(NDRC)はいずれも、SASAC傘下の国有企業と地方政府が組んだPPP(官民連携)プロジェクトに絡む金融リスクの高まりを懸念しているという。最近では内モンゴル自治区包頭市の地下鉄建設プロジェクトが一時停止となったが、この一件もインフラ投資「引き締め」のサインである可能性が出てきた。マクロ経済の堅調を受け、投資引き締めを実施するだけの政策的な余力が生まれたもようだ。中国鉄建の新規受注状況を見ると、2017年上期に前年同期比46.9%の伸びを示した後、7-9月期には同2.8%減と明らかに後退。国内全体のインフラ投資は1-10月に同11.6%増と、前年同期の同15.3%増から減速した。BOCIは地方政府プロジェクトの停滞を受け、インフラ投資が向こう3-6カ月間にさらに減速するとの見方。同社の目標株価を引き下げ、株価の先行きに対する従来の強気見通しを中立的に引き下げている。

 BOCIは5月後半から、PPP関連の新規受注が減速する可能性を指摘してきたが、その理由は銀行システムの過剰債務解消の副作用として流動性引き締め傾向が高まったため。一方、現在問題となっているのはむしろ、中央政府によるインフラ投資政策の見直し。政府当局は地方政府プロジェクトへの支援を手控えつつある。

 中国経済は投資への依存度が高く、BOCIは向こう10-15年間にわたって、こうした状況が続くとみている。個人消費が急速に伸びているとはいえ、政府が望む「消費主導型経済」への移行には最大20年を要するとみられ、健全かつ安定的な経済成長を維持するためには、やはり投資の伸びが不可欠という。また、中国ではインフラ施設の浸透率が今も低く、地方政府のインフラ整備需要は極めて大きい。こうした理由から、BOCIは中国政府が遠からず、インフラ投資、不動産投資路線に再び舵を切るとの見方。現在の引き締めスタンスはあくまで一時的である可能性が高いとしている。

   中国鉄建の株価は現在、17年予想PERでわずか6.7倍の水準。BOCIは同社が膨大な受注残を抱えることから、現時点で利益見通しを下方修正する必要はないとし、17年、18年の予想(前年比で各11%、8%増益)を据え置いた。ただ、インフラ投資の引き締めは一時的措置であるとしながらも、新規受注の弱さを懸念材料として指摘。同社株価が主に、利益と新規受注動向に左右される点に言及した上で、17年予想PER7.2倍(ヒストリカル平均値に対して20%のディスカウント水準)をあてはめ、目標株価を引き下げた。この先新規受注が回復すれば、BOCIは目標算出上の20%のディスカウントを取り消す方針。一方、新規受注が仮に、予想以上に低迷すれば、レーティング引き下げ要因にもなり得るとしている。