11月8日:2016-2020年に年平均22%拡大へ、アリババやJDなどの大手が有利

 BOCIは新たに中国のネット通販セクターに対するカバレッジを開始し、セクター全体に対して強気見通しを付与した。すでに世界最大規模となった中国のネット通販市場が2016-20年にさらに年率平均22%拡大し、20年には1兆6,000億米ドル規模に達すると予想。オムニチャネル戦略(ネットやオフラインを含むあらゆる販路を融合した小売戦略)に加え、商品カテゴリーや地域的な広がりが市場の拡大をけん引する見通しを示した。また、こうした流れがオフライン部門との提携や先進のデータテクノロジー、サプライチェーン、物流ネットワークのマネタイズ(収益事業化)という点で、ネット通販事業者に膨大なビジネス機会をもたらすとの見方。個別では米NY上場のアリババグループ(BABA US)、ナスダック上場のJDドット・コム(京東商城:JD US)をトップピックとし、2社が引き続き中国ネット通販業界の集約局面をリードするとみている。

 中国のネット通販市場は世界最大で、2016年の総取引額は5兆200億元。ユーザー数は4億6,700万人を数えた。2016年半ばには一時減速傾向を示したものの、2017年1-9月の取引額は前年同期比28%増と、再び加速傾向にある。BOCIは食品雑貨部門への拡大やオムニチャネル戦略、地方市場への浸透により、2016-2020年には年平均22%拡大すると予想。2020年には国内小売売上高に占めるネット通販の割合が27%に達するとみている。

 一方、ネット通販部門の広告収入について、BOCIは2016-2019年に年率平均31%の伸びを予想。総取引額(GMV)の年平均22%増を上回るペースで拡大すると予測している。アルゴリズムを活用したターゲット・マーケティングの進化やトラフィックの伸びが背景。特にネット通販大手は広告顧客に対し、消費性向や個々の顧客を対象としたマーケティング分析ツールを提供する点が強みという。個別に見ると、まず膨大なユーザー基盤やエコシステムを持ち、ネット通販広告市場で90%のシェアを握るアリババグループがこうしたトレンドを追い風とする銘柄の代表格。ほかに、テンセント(00700)と提携関係にあるJDも有力銘柄となる。

 ネット通販セクターではやはり、アリババ、JDといった大手が有利。BOCIは顧客基盤や物流インフラ、データ分析ツール、エコシステムの充実などを強みとする大手が、国内GMVの拡大を追い風にさらに成長するとみている。一方、垂直型のネット通販事業者に関しては大手の前に苦戦を強いられるとの見方。先行きに関してやや慎重見通しを示すとともに、差別化がユーザー引き留めや収益化のカギになるとみている。

 BOCIはアリババグループ、JDドット・コム、唯品会(Vipshop:VIPS US)の大手3銘柄のカバレッジを開始。うちアリババとJDの株価の先行きに対して強気見通しを付与し、唯品会に関しては中立見通しを示した。アリババの目標株価は2018年予想PER35倍、2017年予想PEG1.2倍の水準。JDには2019年予想PER38倍の水準に設定した。