先週は、9日(木)に一時2万3,382円と2万3,000円台まで急騰後、2万2,522円まで急落という荒い動き

先週の予測

 前週末の米国市場では株式3指標の最高値更新が続いており、シカゴの日経先物が2万2,605円で終わっているため、1996年6月26日の2万2,750円(バブル崩壊後の戻り高値)が目先の上値ポイントとしました。弱い材料としてはトランプ大統領のアジア歴訪での日米首脳会談で貿易不均衡の是正を求められることや北朝鮮の挑発による地政学的リスクが考えられるとしました。

結果

 3連休明けの6日(月)は、米国株高の流れを受けて買い先行で始まり、一時+105円の2万2,644円まで上昇するものの、後場には利益確定売りで逆に▲103円の2万2,435円まで下げ、終値は+9円の2万2,548円でした。
 7日(火)になると、前日の米国市場で3指標そろって最高値更新が続いていることで日本市場には外国人投資家の現物買いも大量に入りました。さらに、為替とセットで先物買い仕掛けが入って急騰、+389円の2万2,937円となって、目先の上値ポイントとしていた1996年6月26日の2万2,750円をクリアーしました。この時点では、次の上値ポイントは2万3,000円の心理的抵抗ラインになり、その上は1992年1月9日の2万3,113円を見る展開でした。
 8日(水)に▲23円の2万2,913円と一服したあとの9日(木)の前場は、前日の米国株式の3指標そろっての最高値更新を受けて買い先行に。為替も1ドル=114円台前半となったことで、先物主導で上げ幅を拡大し、+468円の2万3,382円をつけました。しかし、後場になると一変し、翌日の11月限オプションSQ算出を控え、売り方の買い戻しが前場で一巡したうえに、買い方の利益確定売りも重なって反落となり、▲390円の2万2,522円まで下げました。このときの高値からの下げ幅は▲859円となります。SQの週、特有の荒い動きとなりました。終値では下げ幅を縮小し。▲45円の2万2,868円で引けました。
 週末の10日(金)は、米国株安と円高を受け、▲187円の2万2,681円でした。11月SQ値は2万2,531円となっており、10日(金)の終値は2万2,681円とSQ値を上回っていますので、まず、SQ値の2万2,531円を守れなければ、目先は2万2,000円水準が下値ポイントとなります。
10日(金)のNYダウは、共和党上院の税制改革案は、法人税減税の実施時期を2019年に先送りするという、下院の案と異なるものとなったことで年内の法案成立が困難になったとの見方から前日の大幅下げに続き▲39ドルの2万3,422ドルと続落しました。シカゴの日経先物は▲55円の2万2,465円でした。

今週は、調整局面へ。2万2,000円台の値固めとなるかどうか

 米国の堅調相場の柱であったトランプ政権の「税制改革案」が共和党の上院と下院でくい違い、改革案の年内成立に懸念が出てきました。米国株式の上昇相場は、この減税政策が中心になってきただけに投資家の心理を悪化させる可能性があります。米国株式が調整入りとなれば、日本株も同じ動きになると思われます。日経平均は、現時点では需給関係は問題なく2万2,000円台の値固めが想定されますが、もし米国株式が調整した場合、その程度によって日経平均も影響を受けることを、もう1つのシナリオとして想定しておくところです。今週は15日に7-9月期の国内GDPの速報値公表があり、堅調さを確認できれば相場の下支え要因になります。また、米国で12月の追加利上げ観測が高まればドル買い・円売りとなって日経平均への追い風となります。ただし、急上昇してきただけに利益確定売り優先の状況といえます。
 ここまでの上昇相場の中身は、指数に寄与する大型株中心のため、これらが売られると一気に大きく下げる形となるとしました。どこまで調整するかは、現時点では米国株式の状況に注目するところですが、大きく下げても調整が完了すれば日本株式は業績がいいだけに買い戻されることになります。

(指標)日経平均

先週の予測

 米国株式の3指標とも最高値更新のため、それにサポートされて1996年6月26日の2万2,750円を試す動きになるとしました。

結果

 11月7日(火)は、前日の米国株式の3指標そろっての最高値更新にサポートされ、先物にまとまった買いが入り、一段高となって注目ポイントの2万2,750円を突破し+389円の2万2,937円となりました。
 この時点で次の上値ポイントは、心理的フシの2万3,000円、さらに1992年1月9日の2万3,113円でしたが、11月8日(水)は一服したあと11月9日(木)は、前日の米国株式の3指標そろっての高値更新を受け、為替も1ドル=114円台となったことで一気に+468円の2万3,382円まで上昇しました。しかし後場は相場が一変し▲390円の2万2,522円まで急落し、大引けは▲45円の2万2,868円でした。日中幅は▲859円という荒い動きとなりました。

今週の予測

 先週の9日(木)の乱下高を受け、目先2万3,000円水準が、いったんのピークと意識されやすく、これまで支持線として作用してきた5日移動平均線も割り込んでいることで下値は2万2,000円台での値固めとなる可能性があります。主力株が利益確定売りで一服しても中小型株の出遅れ修正となれば、下げても下値は限定的と思われます。

 

(指標)NYダウ

先週の予測

 当面の株価の動きは税制改革の年内成立にかかっているとし、上院の税制改革案の発表が注目されるとしました。また、トランプ大統領のアジア歴訪中に北朝鮮の挑発があれば地政学的リスクが高まることもあるとしました。

結果

 週半ばの11月8日(水)までは、新たな材料が乏しい中、北朝鮮の動きもなかったことで好決算に支えられ、3指標はそろって最高値を更新しました。しかし、11月9日(木)は共和党上院の税制改革案は法人税減税を2019年に先送りする案が盛り込まれ、これを嫌気してNYダウは一時▲253ドルまで下げ、終値は▲101ドルの2万3,461ドルでした。11月10日(金)は引き続き▲39ドルの2万3,422ドルで引けました。

今週の予測

 引き続き税制改革案をめぐる議会動向が注目です。これまでの株価の上昇は、税制改革への期待を中心に上昇してきただけに投資家心理を悪化させることになります。成立の遅れが高まれば株価はいったん調整入りの可能性もあります。

 

(指標)ドル/円

今週の予測

 税制改革関連法案の審議の行方が注目となるとし、下院の税制改革法案がスムーズにいかないと、年内の法案成立が困難になってドル売り要因となるとしました。一方で指名されたパウエル氏はゆるやかな金利引き上げ方針を受け継ぐとみられるため中期的にはドルの先高感は後退しないとしました。

結果

 週始めは、共和党の税制改革法案の実現期待でドル買いとなって114.73円まで上昇、その後、上院の法人税減税の実施を1年先送り案に嫌気し113.09円までドルが売られました、その後、期待インフレ率が上昇したことで113.55円まで戻して引けました。

今週の予測

 もみあいの可能性があります。税制改革案の成立が遅れればトランプ政権の求心力が低下し、ドル売りとなります。一方で12月の追加利上げが意識されておりドル売りは限定的となります。112.5~114円を想定。