グループ子会社の粉飾決算疑惑、マイナス影響は限定的か

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00762 中国聯通(香港)(チャイナ・ユニコム(ホンコン))  10.58 HKD
(05/18現在)
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中国の財経ニュースメディア『財新網』はこのほど、チャイナ・ユニコム・グループの陝西省における運営会社「陝西聯通」の粉飾決算疑惑を報じたが、BOCIはこの件について、今回の不正はそれほど重要な問題ではなく、その大半が2016年に修正済みの案件だと指摘している。チャイナ・ユニコムに関しては依然として、グループの「混合所有制改革」(民間資本受け入れでコーポレートガバナンスや経営効率の改善を図る改革)や通信業界の再編の可能性が最大の焦点になるとの見方。目標株価を据え置いた上で、引き続き同社を通信セクターのトップピック銘柄としている。

『財新網』は5月、ユニコム・グループが4月11日に通達した社内情報を基に、陝西省の運営会社、陝西聯通が営業収入および利益に関して粉飾行為を行ったと伝え、こうした不正行為は「組織的なものであり、前例がない」と報じた。同社は2012-16年の5年間にわたり、最大18億元の幅で売り上げを水増し計上。これにより、同社の元総経理と幹部・管理職72人が懲戒処分を受けたという。

ただ、BOCIは内部手続きや報道の時系列を確認し、「粉飾行為の大半が16年通期決算の監査プロセスにおいて修正された」との認識。グループレベルの16年通期決算(3月15日発表)において、売り上げ、利益の水増し部分はすでに排除されていたとみている。また、不正行為の影響自体、さほど大きくないとの見解。報道された売上高の水増し額(18億元)はチャイナ・ユニコムの16年通期売り上げ(2770億元)のわずか0.64%程度に過ぎないとした。なお、チャイナ・ユニコムの16年決算を見ると、省ごとの運営会社の収益内訳は明らかにされておらず、陝西聯通の業績は「中国北部10省」に含まれる形となっている。

一方、BOCIはチャイナ・ユニコムに関連する新たな情報の一つとして、広電集団(Broadcasting and TV Group)から700MHzの周波数帯を付与される可能性に言及している。700MHzは歴史的に、広電集団のアナログテレビ放送向けに割り当てられてきた帯域(698-806MHz)に当たるが、標準的な4G帯域(2100-2600MHz)に比べて周波数が低く、コンクリートの壁を避け、より広いエリアをカバーする上で効率的。辺境地域や高速道路など、通信網の低密度エリアをカバーする上では、4Gネットワークにとって理想的と言える。また、これは将来的な5Gネットワークにも適合する帯域。BOCIは仮に700MHzがチャイナ・ユニコムに注入された場合には、既存のネットワークを補完する役割を果たすと予想。このケースにおいては、広電集団が混合所有制改革におけるユニコム・グループの資本提携先に選ばれたことを意味するとしている。

BOCIは株価の先行きに強気見通しを維持。レーティング見直しにつながる可能性のある潜在リスク要因としては、過当競争による4Gサービス事業への悪影響を挙げている。

 

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