ビットコインは、その性質や価値を考察する上でよく金(ゴールド)と比較されることがあります。その理由は、ビットコインと金にいくつか共通点があるから。そこで、今回は金の特性からビットコインについてみていきましょう。

 

需要と供給で価値が決まる

 金の価値が高いのは「多くの人がその価値を認めて、欲しがる」からです。ビットコインも同様で、世界中でその価値を認める人が急増しているため、価値が高まっている状態といえます。また、価格は需要と供給のバランスで変動しますが、金もビットコインも「供給量が有限」であることが共通しています。

 

マイニング(採掘)で増える

 金が鉱山の採掘によって増えるように、ビットコインも「マイニング(採掘)」と呼ばれる作業で新規発行されます(増えます)。

 とはいえ、「ビットコイン鉱山」なるものは実際には存在しません。ビットコインにおけるマイニングとは、10分ごとに溜まった大量の取引データを「ブロックチェーン」という形に処理するための計算作業のことを指します。ブロックチェーンは、10分ごとに取引データをブロックにしてチェーン状につなげていく仕組みですが、このブロック同士をつなげる作業がマイニングです。

 この作業には高性能のコンピューターと膨大な電気料金をかけながら膨大な演算を成功させる必要があり、最初に答えを導き出してブロックをつなげた人に報酬としてビットコインが新規発行されます。このビットコインが流通することで市中に出回ります。ビットコインはこうして生み出され、増えていきます。

 多大なコストをかけて行う作業であることや、まだ世の中に出回っていない希少なコインを見つけることが「鉱山で金を掘り当てる」ことに似ていることから、ビットコインを生み出す作業はマイニング=採掘と呼ばれているのです。

 

有限である

 金の埋蔵量に限りがあるように、ビットコインも有限です。ビットコインの発行上限数は2,100万BTC(BTCとはビットコインの通貨単位)と決まっており、それ以上増えることはありません。

 ビットコインの新規発行量(報酬)は21万ブロックごとに減る決まりがあります。これを「半減期」といいます。ビットコイン誕生からこれまで、すでに2回の半減期を経てきています。1度目の半減期は2012年11月、2度目は2016年7月でした。今後は、おおそよ4年に一度半減期が訪れると言われています。

 ビットコインが誕生した当初は、マイナー(採掘者)への報酬は1回のマイニングにつき50BTCでしたが、現在は12.5BTCとおよそ1/4に減っています。

 2140年前後に692万9,999番目のブロック生成を最後にビットコインは上限の2,100万BTCに達するように設定されています。上限に達した後のビットコインは、生成も増産もされませんがデータ保管は続き、取引を続けることができます。

 有限であることは価値の希少性を維持できるということ。また、発行数が決まっているということは、価格の安定化につながりインフレに強い資産と言うこともできます。

 今はまだ価格の増減が激しいビットコインですが、上限が近づくにつれ価格も安定し、世界共通通貨として一般の人々にも利用が広がっていくのではないでしょうか。

 

有事の安全資産

 経済不安などの有事に見舞われると、資産を守るために金が買われることがよく知られています。この点で、ビットコインにも同じような事例があります。2015年にギリシャで金融危機が起こった際には、ビットコインを購入する人が多くいたのです。

 現在でも、経済不安を持つ国では、自国発行の通貨よりビットコインを信用し購入する人が少なからずいます。国にとらわれず世界中で取引できるビットコインは、安全資産としてもその価値を高めているのです。

 

支払い手段としては、ビットコインは金より利便性が高い

 このように、ビットコインと金には多くの類似点がありますが、ひとつ大きな違いがあります。それは、ビットコインは支払い手段として金よりも利便性が高いということ。オンラインの支払い手段として利便性の高いビットコインの価値が、今後どのように変化するのかが注目されます。