10月30日:データ利用量の伸びが鮮明、キャリア3社の10-12月決算は予想上振れか

 中国工業情報化部(MIIT)や通信キャリア3社が発表した最新統計によると、9月には4G加入者の獲得において、チャイナ・テレコム(00728)とチャイナ・ユニコム(00762)によるチャイナ・モバイル(00941)の追い上げが鮮明となった。一方、キャリア3社の2017年7-9月期決算はそろって堅調。3社の経営陣は年初にそろって、2017年通期決算に対して慎重見通しを示した経緯があり、BOCIによれば、10-12月期決算の予想上振れが期待できるという。10-12月期には国内ローミング料金および長距離通話料金の廃止によるマイナス影響が見込まれるものの、この点についてはすでに織り込み済みとしている。

 9月の統計を見ると、国内全体の通信サービス収入は前年同月比8.1%増の1,030億元に上った。4G加入総数は月間1,700万件増え、9月末時点で9億4,700万件と、総人口の68%相当。携帯加入者全体に占めるモバイル・インターネット(3G/4G)利用者の割合は9月に78%で、2Gを含むと98%だった。

 統計で特に目を引くのは、3G/4G加入者の1人当たり月間データ利用量(DMU)が2.2GBと、前年同月比125%急増したこと。これにより、全体のデータ利用量は前月比11%増、前年同月比178%増の2,403TB(テラバイト)を記録した。DMUは2月以降、加速傾向が鮮明。キャリア別に見ると、テンセント(00700)、アリババグループなど有力ネット企業と提携し、新規のヘビーユーザーの取り込みに成功したチャイナ・ユニコムが特に好調。同社のDMUは17年上期の段階で前年同期比326%増の1.62GBだった。他2社もデータ利用促進に向けて4Gパッケージを優良化しており、BOCIはこうしたトレンドが今後のDMUの伸びを後押しするとみている。実際、中国の9月の月間DMU(2.2GB)は欧州などの先進市場に比べて遥かに低く、成長余地が大きいという。

 4G加入総数は年初から急増し、1月の4億4,900万件から、9月には9億4,700万件に拡大した。キャリア3社を比べると、これまで劣勢に立たされていたチャイナ・ユニコムとチャイナ・テレコムの巻き返しが鮮明。9月にはユニコム、テレコム、チャイナ・モバイルの4G純増シェアがそれぞれ41%、32%、27%となった。

 キャリア3社の業績は9月まででいずれも堅調。3社の経営陣は国内ローミング料金と長距離通話料金の廃止(9月施行)を理由に、17年通期決算に対して慎重見通しを示していた経緯があり、チャイナ・ユニコム、チャイナ・テレコム、チャイナ・モバイルの1-9月期純利益は、すでにBOCIの2017年通期予想の93%、91%、80%を達成。9月までの達成率が高水準に達したため、BOCIは各社の通期決算が予想を上振れる可能性を指摘している。また、2つの料金廃止による10-12月期業績への影響はすでに織り込み済みであるとし、3社の株価の先行きに対してそろって強気見通しを継続している。