2017年7-9月は実質4%増益、10-12月期も中国事業が好調持続へ

現地コード 銘柄名
00288 万洲国際
(ダブリューエイチ・グループ)
株価 情報種類
 7.82HKD
(10/31現在)
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 万洲国際の2017年7-9月期決算は、一回性損益(豚など生物資産の評価損益や債務再編費など)を除く経常ベースで前年同期比4%の増益となった。コアEBIT(利払い・税引き前利益)は同5%増。主にコスト低減を受けた中国部門の利益回復が増益決算に寄与した。一方、米国部門のEBITは同6%落ち込んだが、これは豚腹肉の価格上昇を受けたパック肉の利益率後退が背景。また、中国や米国に比べて収益構成比が小さい欧州部門のEBITは、豚価格の15%の上昇を受けて同70%の伸びを示した。BOCIは続く10-12月期のコアEBITについて、前年同期比1.4%増を予想している。中国部門が利幅改善と販売量の増加で28%増を確保する半面、米国部門は豚と豚肉との価格差の縮小による生鮮豚業務の苦戦により、コアEBITが19%減少するとの見方。この点を反映させる形で利益見通しを下方修正しながらも、同社株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 中国部門のEBITは7-9月に前年同期比14%増。パック肉業務の利幅改善に加え、販売量が前年同期比1.7%増と、プラス成長を回復したことが寄与した。BOCIは10-12月期のEBITについて前年同期比28%増を予想。パック肉および生鮮豚の販売増見通し(各6%、26%増を予想)や利益率の一段の改善などをその理由としている。

 一方、米国部門のEBITは7-9月期に前年同期比6%減。パック肉の利益率は改善したものの、豚と豚肉との価格差縮小による生鮮豚業務の業績悪化が響いた。10-12月期に関してはパック肉の一段の利幅改善と豚生産関連の損失軽減を見込みながらも、生鮮豚業務の前年同期利益が一時的に過度に高水準に達していた点を指摘(処理能力不足が背景)。その反動などから、部門全体で同19%減益となる見通しを示した。

 BOCIは米国で予想以上のペースで豚と豚肉との価格差が縮小したことを受け、同社の17-19年の利益見通しをそれぞれ3-5%減額修正した。2018年については、中国部門、米国部門、同社全体のEBIT伸び率がそれぞれ前年比11%、7%、10%になるとの見方。中国での豚価格の一段の軟化や予想以上のパック肉の販売好調、欧州での生産増強などの要因により、18年決算の予想上振れもあり得るとしている。

 BOCIはSOTP(サムオブザパーツ)方式を基に目標株価を設定したが、うち中国部門に関しては17/18年の平均EV/EBITDA(企業価値=EVがEBITDAの何倍になっているかを測る指標)11倍をあてはめ、米国および欧州に関しては同9倍を適用した。新たな目標株価は、2017年、2018年の予想PER(コア利益ベース)でそれぞれ15倍、14倍に相当する。一方、レーティング見直しにつながる可能性がある同社の潜在リスク要因としては、食品の安全性問題や、中国での豚価格の高騰、米国での豚価格の急落、米国での飼料価格の高騰などの可能性に加え、豚肉に絡む米中貿易摩擦リスクを挙げている。