3月22日
サウジとの経済協力合意が支援材料、今後もイスラエルなど複数国と経済外交展開へ

3月21日の香港株式市場では本土インフラ建設大手の中国交通建設(01800)、中国鉄建(01186)がそれぞれ前日比4.4%、2.8%値上がりしたが、BOCIによれば、これは中国とサウジアラビアとの経済協力合意に加え、イスラエル首相の訪中に伴う経済外交への期待感が背景。市場はさらに、5月半ばに開かれる「一帯一路」(中国の対外発展戦略)サミットに先立つその他の外交イベントに期待しており、実際、それまでには複数の経済協力協定が締結される見通しという。こうした中国と諸外国との経済外交は5月までの間、本土インフラ銘柄の支援材料となる可能性が高い。

サウジアラビアのサルマン国王は3月15-18日に中国を訪問し、総額650億米ドルに及ぶプロジェクト35件をめぐって14の覚書を締結した。両国の協力分野は航空宇宙、石油、石油化学、交通、原子力、採鉱などで、中でも鉄道プロジェクトの比重が大きい。BOCIはサウジアラビアが特に必要としている分野として、浚渫、港湾、高速道路、鉄道建設を挙げ、個別では中国交通建設が勝ち組になるとの見方。中国交通建設は実際、推定300億米ドル規模のインフラ建設について、サウジアラビアとの覚書に調印した。同社は交通インフラ建設分野において世界最大規模を誇り、中でも浚渫工事に強みを持つ。「一帯一路」エリアの各国は長い海岸線を持つため、BOCIは港湾・浚渫契約などの点から、同社に最大の恩恵が及ぶとの見方だ。また、中国本土のゼネコンの中で、海外鉄道プロジェクトの獲得シェアが最も高いのも同社だと付け加えている。

一方、次にはイスラエルのネタニヤフ首相が訪中する予定であり、BOCIは交通、インフラ建設を含めた経済協力協定の締結を予想。さらに、「一帯一路」サミットに向けて同種の契約が続くとみている。ただ、今のところ、その大半は協議段階にあるとして、今後の経済外交の推移に留意するよう投資家に勧めている。

BOCIは個別では、中国交通建設と中国機械設備工程(01829)をトップピックとしている。うち中国交通建設の株価は年初から28.7%値上がりしたが、BOCIは一段の上値余地を指摘。「一帯一路」サミットに先立つ各国との経済協力合意に加え、国内PPP(官民連携)プロジェクト、海外の一帯一路プロジェクトを牽引役とする足元の受注好調が支援材料となる見通しを示した。もう1社の中国機械設備工程に関しては、手許現金の豊富さや高配当利回りのほか、他の一帯一路銘柄と比較した低バリュエーションを指摘。同社株は流動性こそ低いものの、中国交通建設以上に上値余地が大きいとしている。

一方、鉄道設備銘柄は17年の業績不透明感から、インフラ銘柄の中で出遅れ感が強いが、BOCIは今後も一帯一路銘柄が騰勢を維持した場合、車両銘柄も追随すると予想。株洲中車時代電気(03898)、中国中車(01766)、中国鉄路通信信号(03969)の株価の先行きに対して強気見通しを明らかにしている。