3 リョーサン菱和HD(167A・東証プライム)

 2024年4月に、菱洋エレクトロとリョーサンが共同株式移転により設立した持株会社です。両社ともに半導体などのデバイス事業を中核とするエレクトロニクス商社で、菱洋エレクトロはICT・ソリューション事業も展開していました。米エヌビディア製品の取り扱いを拡大中です。

 現在は統合シナジーの準備フェーズにあるもようで、2025年以降は、本社や管理部門の統一検討、情報共有のDX化推進など、シナジー加速フェーズに入っていく計画となっています。

 2025年3月期第1四半期営業利益は13億円で、前年同期の2社単純合算比で63.8%の大幅減益となっています。半導体分野における調整局面の影響が残り、売上高が2桁の減少となっています。また、のれん償却額や人件費増で販売管理費の負担も膨らんでいます。

 2025年3月期通期では130億円計画を据え置き、前期2社単純合算比で1.2%の増益に転じる見通しとしています。年度後半からのデバイス事業回復を見込むほか、ソリューション分野では設備機器関連の大型案件の寄与も織り込んでいるようです。

 年間配当金は配当性向70%となる140円を計画しています。株主還元としては、100株以上の株主に対して2,000円相当の優待商品も贈呈しています。同社の注目ポイントとしては、今後の統合シナジー効果の本格化となります。

 2029年3月期の経営目標では、営業利益300億円を計画していますが、営業シナジーのみならず、コストシナジーだけでも30億円ほどの寄与を見込んでいるようです。また、エレクトロニクス部品商社は依然として多く乱立しており、今後の業界再編を主導していく役割なども担っていきそうです。

4 TOYO TIRE(5105・東証プライム)

 タイヤ業界で国内第4位の位置づけです。北米における大口径SUV用タイヤ「オープンカントリー」などに強みがあるとされています。地域別販売構成比では北米が約65%を占め、タイヤ各社の中では最大の水準となっています。

 防振ゴム部品などタイヤ以外の自動車部品なども手掛けています。2018年に資本提携を行い三菱商事が筆頭株主となっています。2025年度までの中期計画では、配当性向30%以上を軸に長期安定配当を目指すとしています。2024年8月には、サステナブル素材を採用のアイス性能が大きく進化したスタッドレスタイヤを開発しました。

 2024年12月期上半期営業利益は475億円で前年同期比78.3%増となり、従来予想の400億円を大きく上回る着地になりました。為替相場の円安推移、原材料価格や海上運賃などが想定ほど上昇しなかったことで、利益率が向上したようです。

 2024年12月期通期では810億円、前期比5.3%増の見通しで、従来予想の780億円から上方修正しています。主に北米事業の利益予想を引き上げています。なお、年間配当金は前期比5円増の105円計画を据え置いていますが、業績の上振れ余地が大きいとみられるため、今後の増配アナウンスが期待されるところでしょう。

 北米向けの売上構成比は6割強と、自動車・自動車部品メーカーの中でも極めて高い比率となっています。利下げ局面入りに伴う今後の米国景気回復は、売上構成比の高い米国市場での販売増加が期待できることになり、円安メリットも含めて収益インパクトは強まりそうです。

 短期的な期待材料としては株主還元策の強化が挙げられるでしょう。現在の中期計画は2025年が最終年度になっていますが、前倒しで議論が進む余地もあると考えられます。なお、為替感応度は、1円/ドルで年間8億円、1円/ユーロで年間1億円の営業利益変動要因になるもようです。

5 日立建機(6305・東証プライム)

 国内第2位の建設機械メーカーで、世界でもトップ5に入るとみられています。油圧ショベルが主力であり、クローラー式油圧ショベルでは世界トップ級と評されています。大型ショベルやリジットダンプなどの鉱山機械にも注力しています。日立製作所が一部株式を売却し、伊藤忠商事と日本産業パートナーズが出資する会社が筆頭株主となっています。

 地域別売上比率では米州27%、オセアニア18%、日本16%、欧州13%(2024年3月期)、米州事業の拡大に注力しています。部品・サービス、再生、レンタル・中古車など、バリューチェーン事業の拡充も推進しています。

 2025年3月期第1四半期調整後営業利益は325億円で前年同期比13.5%減となっています。欧州やアジアにおける物流減の影響が響いたもようです。2025年3月期通期では1,650億円、前期比1.8%減を据え置いています。

 欧州やアジアは下方修正の一方、アフリカやオセアニアは上方修正しているようです。注力するバリューチェーン事業の伸長も見込んでいます。ちなみに、通期では為替要因を41億円の減益要因としています(第1四半期実績は90億円の増益要因)。年間配当金は前期比25円増の175円計画を据え置いています。

 機械セクターにおいて、時価総額1,000億円以上の銘柄の中では最も高い配当利回り水準となっています。為替感応度(第2~第4四半期)は、1円/ドルで15億円、1円/ユーロ、1円/豪ドルでそれぞれ3億円となるようです。

 景気に左右されにくいバリューチェーン事業の比率が4割超となる見通しで、相対的なディフェンシブ性は高まっていますが、短期的な株価評価には北米での需要拡大が必要となりそうです。この点で言えば、トランプ大統領下での米国インフラ投資拡大が期待されるところでしょう。