プラチナは世界全体で、自動車排ガス浄化装置向け消費は横ばい。宝飾向けが減少

 2015年に、世界屈指の規模を誇るドイツの自動車会社フォルクスワーゲン社において、違法な装置を使い、排ガスを浄化する装置のテストをくぐり抜けていたことが発覚しました。(いわゆるフォルクスワーゲン問題)

 同社の本社がある欧州では、対象となったディーゼル車への信頼が低下し、ガソリン車へのシフトが進みました。また、HV(ハイブリッド車)、PHV(プラグインハイブリッド車)、EV(電気自動車)、FCV(燃料電池車)などの次世代自動車への注目が集まるようになりました。

 以下は、プラチナの国別自動車排ガス浄化装置向け消費ですが、フォルクスワーゲン問題発覚以降、欧州でやや減少がみられます。ただし、インドを含むその他の国で増加しているため、世界全体ではおおむね横ばいとなっています。

図:プラチナの国別自動車排ガス浄化装置向け消費 単位:トン

出所:リフィニティブGFMSのデータより筆者作成

 需給バランスが供給過剰に傾いた原因に、自動車排ガス浄化装置向けの消費が増加しなかったことがあげられます。加えて、以下のとおり、宝飾向け消費が減少したことがあげられます。

図:プラチナの国別宝飾向け消費 単位:トン

出所:リフィニティブGFMSのデータより筆者作成

 中国における宝飾向け消費の減少が目立っています。需給バランスが供給過剰に傾いたのは、宝飾向け消費の減少(特に中国)が主因とみられます。

 ちなみに、需給バランスの根拠となる要素のうち消費以外の“供給”においては、以下のとおり、パラジウムは増加、プラチナはおおむね横ばいです。

 パラジウムは供給が増加しながら供給不足が拡大しており、それだけ消費の増加に勢いがあること、プラチナは供給がほぼ変わっていないため、消費の増減が需給バランスの変動に影響を与えていることが分かります。

図:パラジウムとプラチナの供給量 単位:トン

出所:リフィニティブGFMSのデータより筆者作成