金相場は反発。5週ぶりの安値を付ける場面があったが、2月の米雇用統計を織り込んで下げ渋っている模様。ドルが下落したことと、米長期金利が頭打ちになったことが背景にあるとみられる。

2月の非農業部門就業者数は23万5,000人増で、市場予想の19万人増を上回り、さらに失業率も4.7%と前月から0.1%低下したが、利上げが織り込まれる中で金を売る動きはいったん止まったとみられる。

世界最大の金上場投資信託(ETF)であるSPDRゴールドトラストの保有高は825.22トンにまで減少。価格が下落する中で、手仕舞い売りが出ているようである。CFTC発表のCOMEX金先物市場での大口投機筋のポジションは、3月7日時点で13万3,685枚の買い越しとなり、前週から3万0,113枚減少。

買いポジションが1万7,525枚減少する一方、売りポジションが1万2,588枚増加した。これまで積み上がってきた買いポジションが、価格下落により手仕舞いされている様子がうかがえる。また、8日以降の価格下落でネットの買いポジションはさらに減少しているものと思われる。

10日の米雇用統計の発表以降、重要イベントが続くことから、市場では警戒感が強まっていたことが、先週の手仕舞い売りの背景とみられるが、ドルの上昇は限定的になっている模様。トランプ米政権への期待が根強いことや、欧州の政治リスクの後退もあり、警戒感が急速に低下したことも、売りにつながった面があろう。

また、FRB関係者の利上げ実施に関する発言が、想定以上に速いスピードで市場に織り込まれたことも、ドル高・金売りにつながったとみられる。15日のオランダ総選挙を無難に通過し、日米の金融政策決定会合が波乱なく終了すれば、ドル高基調に歯止めがかかり、これがドル建て金価格を押し上げる可能性があると考える。

市場の関心は、年内のFRB関係者による利上げ回数の予測に向かっているが、現在3回となっている年内の利上げ回数の予測が4回になれば、一時的にドルが買われ、ドル建て金価格は下押しする可能性がある。

しかし、利上げ回数が3回に止まれば、ドル売りが出ることで金価格が反発することも想定されるだろう。また、これらを受けた米長期金利の動向にも注意が必要である。金利が急伸するようであれば、金価格の圧迫要因になるが、現時点でドル高・金利上昇はかなり織り込まれたといえるだけに、金相場のこれ以上の下落はないと考えている。

1,200ドルという極めて重要な節目を辛うじて維持しており、売られすぎ感も強い。最大で1,150ドル程度まで下落する可能性はあるものの、下落局面では長期的な視点からの押し目買いが入り、下げ止まるだろう。

非鉄相場は反発。ようやく底打ちの動きが見られ始めているようである。銅は重要な節目の5,600ドルを維持しており、トレンドは崩れていない模様。アルミも反発に向かいつつある。ニッケルだけは弱く、1万ドルの大台を割り込んだが、9,770ドルにあるサポートを目前にかなり良いところまで来ているようである。底値確認はもう目の前であろう。

亜鉛も2,700ドル、鉛も2,225ドルを維持して反発しており、良い形になりつつある。雇用統計を通過し、さらにFOMCでの利上げを織り込めば、再び上昇に向かうことになりそうである。

一方、中国の1~2月の鉱工業生産は6%を超える増加だった。また2月の新車販売台数も前年同月比22.4%増の193万9,000台で、春節(旧正月)の影響を除くため1~2月累計で見ても8.8%増と、底堅さを維持した。ただし、伸び率は2016年通年の13.7%を下回っている。

原油は続落。3カ月ぶりの安値水準となった。OPEC主導の減産が世界的な供給過剰を和らげるには至っていないとの観測から売りが出ているようである。3日間の下落としては16年2月以来最大となっている。米国内の原油在庫が過去最高水準になったことや、石油掘削リグ稼働数が前週比8基増の617基と、15年9月以来の高水準となったことが嫌気されているようである。増加は8週連続で、10カ月にわたって回復基調が続いている。

こうなると、市場では米国の産油量の増加が原油相場の上値を抑えるとの連想になりやすい。また、メジャーがシェールオイル企業を買収しているとの報道や、生産コストが低下しているとの見方も売り材料である。

直近の下げで、投機筋はパニック的な売りを出しており、これが急落につながっている面があろう。彼らは下げると機械的に売ってくる傾向があり、これも下落に拍車をかけているといえよう。

今回は上昇場面で構築されたロングポジションが積み上がり、それが仇になっていると考えられる。当面はポジション調整が進むことで、下落が続くことになりそうである。もっとも、50ドル割れでは生産者が継続的に生産を続けることができないだろう。したがって、この水準は長続きしないと考えるのが妥当であろう。昨年は1月と2月に26ドル台を付けたが、これもパニック売りの産物だったとみられる。

今後もOPECは減産し、非OPECも減産を続けるため、世界の石油需給は改善するだろう。世界の石油需要は拡大し、早ければ年央にも世界の石油需給はバランスすると考えられる。そのときに、原油相場は50ドルを割り込んでいることは考えにくい。

しかし、米国内の石油需給は問題が多いのも事実である。とにかく在庫が多すぎることが問題である。さらに生産量も増え始めている。おそらく、シェールオイルの生産が増えているのだろう。

現状で採算が合うシェールオイル企業は少ないとみられるが、増産ペースが高まれば、原油相場はさらに下落し、結果的に誰にとってもよくない状況に追い込まれるだろう。いずれにしても、どの程度までシェールオイルの生産コストが下がるのかは未知数だが、いまの段階では50ドル以下はさすがに安すぎるといえるだろう。