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金相場は続伸。ただし、高値は更新できなかった。
江守 哲
コモディティ デイリーコメント
貴金属、原油を中心とした商品(コモディティ)マーケットの要点をまとめたデイリーコメント。コモディティマーケットに精通した江守氏の鋭い着眼点に注目。

金相場は続伸。ただし、高値は更新できなかった。

2017/1/16
金相場は続伸。ただし、高値は更新できなかった。米国の堅調な小売売上高がドルと米国債利回りを押し上げる要因となったことが背景にあるとみられる。
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金相場は続伸。ただし、高値は更新できなかった。米国の堅調な小売売上高がドルと米国債利回りを押し上げる要因となったことが背景にあるとみられる。

市場での利上げ加速の観測も上値を抑える可能性が指摘されている。金相場は昨年12月半ばの安値から6.5%の上昇となり、さらに節目の1,200ドルをつけたことから、目先は手仕舞い売りが出やすい。

米大統領選でのトランプ氏の勝利以降の金価格の下落要因だったドル高・株高・金利上昇の動きに一服感が出る中で、金に買戻しの動きが続いたが、ここでいったんは止まる可能性があるだろう。

ダウ平均は2万ドルの節目を目前に膠着状態が続いており、株式などのリスク資産への投資の動きにやや陰りもみられるようである。さらに金利がつかない金にとって大きな売り材料だった長期金利の上昇にも歯止めがかかっているとみられ、金は下げにくくなっている模様。

トランプ氏が掲げる財政出動を背景とした金利上昇もある程度織り込まれた可能性があり、これを受けて債券を売る動きが止まりつつあるようである。また金利上昇に歯止めがかかったことで、ドルの上値が重くなっていることも、ドル建てで取引される金価格の割安感につながっているとみられる。

このように、金は売られにくくなっており、これで20日のトランプ大統領就任式を境に株価が急落し、ドルが下げるようだと、金相場は1,200ドルを超えて、息を吹き返す可能性がある。

世界最大の金上場投資信託(ETF)であるSPDRゴールドトラストの保有高は、大統領選挙の翌日の昨年11月9日時点の955トンから1月9日には805トンにまで減少したが、13日には807トンと小幅ながら増加し、減少傾向にようやく歯止めがかかったようである。

CFTC(米先物取引委員会)が公表するCOMEX金先物市場での大口投機筋のポジションは、1月10日時点で10万9,482枚の買い越しとなり、前週から1万2,932枚増加。買いポジションが5,145枚増加する一方、売りポジションが7,787枚減少した。これは典型的な強気パターンであるとみられ、この傾向が続くかにも注目したい。

実需面では、中国の春節(旧正月)に向けた買いが続いているとの指摘がある。これまで金価格が下落していたこともあり、相対的に安い水準だったことも購入意欲を高めた可能性があるだろう。

非鉄相場は急伸。銅は中国の輸入量増加が好感されて続伸し、5,900ドル台を回復している。またアルミが続伸し、1,800ドルの大台を付けている。

亜鉛・鉛も急伸し、ニッケルも上昇している。ニッケルは前日にインドネシアの鉱石禁輸措置緩和発表を受けて売られたが、この日は買い戻しで反発した。

非鉄は総じて上昇基調にあり、かなり強い動きになっている。中国の春節前の買い戻しなのかは不明だが、いずれにしても、基調は非常に強いと考えられる。

中国経済の回復期待やトランプ次期米大統領の記者会見後のドル安加速なども材料になっている可能性がある。20日には中国の16年10~12月期と同年のGDPや鉱工業生産などの各種経済指標の発表がある。また米国ではトランプ氏の大統領就任式が20日に予定されており、これらのイベントまでは動きづらくなる可能性がある。

またイベント後には大きく変動することも想定される。非鉄相場はきわめて堅調ではあるが、買われすぎ感も強まっている。ここからは慎重に見ていくべきであろう。

原油は下落。世界2位の石油消費国である中国の貿易総額が09年以来の減少幅を記録したことを受けて、同国の景気に対する懸念から売りが出た模様。

またOPEC加盟・非加盟国による減産履行に対する根強い不安もあり、売りが優勢になっているようである。中国の貿易統計では、昨年12月の原油輸入量が過去最大の日量860万バレルに達したが、それほど材料視されていないとみられる。

また、米国内の石油掘削リグ稼働数が前週比7基減の522基になったが、これもほとんど材料視されなかった。市場では、原油価格が高値付近で推移しているため、18年に入るまで掘削活動の回復基調が続くと予想している。一方、過去7カ月で稼働数が減少したのはわずか2週である。過去33週中の29週で206基増加しており、基本的な増加傾向が変わるものではないだろう。

しかし、繰り返すように、米国の石油会社も50ドル程度の原油価格では持続的な生産活動ができない。結局はすべて石油生産者の持続的な生産には高い原油価格が必要な状況であるとみられる。原油価格は上昇せざるを得ないだろう。

一方、OPECのバルキンド事務局長は、「先月達成された協調減産合意への履行を確信している」としている。バルキンド氏は6月を過ぎて合意が延長されるかについては時期尚早とした上で、5月25日の次回総会で順守水準や市場の反応、需給・在庫状況を精査し、対応を決めるとしている。

OPECは1月1日から、産油量を日量120万バレル減産することで合意したが、加盟国の代表らは減産目標の100%達成はないとみているようである。そのような見方になる背景には、OPECには合意を徹底させる仕組みがないことがある。

順守は加盟国の自主的な行動に委ねられている。加盟国の発表に基づいた現在の順守率は60%を上回っているようだが、100%には程遠い状況であると見られる。

バルキンド氏は、減産状況を確認する22日の監視委員会で、順守率がどの水準であれば容認できるかを判断するとしている。一方、ベネズエラ国営石油公社(PDVSA)は、今年の原油生産量が23年ぶり低水準にとどまると予想している。

同社の昨年の産油量は約10%減少しており、原油安により資金面で苦慮しているという。PDVSAは12月時点での9カ年計画で、今年の原油生産量が日量250万1,000バレルと、16年1~11月の249万6,000バレルに比べて5,000バレルの増加にとどまると予想している。これは1993年とほぼ同じレベルである。

一方でリビアの産油量は13日時点で日量75万バレルと、前週から約5万バレル増加したもよう。2年にわたり封鎖されていた西部の原油パイプラインが先月に稼働を再開したことが背景にあるという。市場では、減産枠から外されたリビアの増産が懸念されており、さらに増産ペースが上がるようだと、原油相場の上値を抑える可能性がある。この水準を見極める必要があるだろう。

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