金は下落。一時約10カ月ぶりの安値を付けた。11月は月間ベースで3年超ぶりの大幅下落となった。

通常11月は買い場となる傾向があると見られるが、今年はそのような動きになっていない。米国経済指標の堅調さとそれを受けた米国債利回りの上昇がドルを押し上げており、12月利上げを織り込む一方で、FRBによる利上げペースの加速観測も売りにつながっているもよう。

またOPEC減産合意で原油価格が上昇したことも金利上昇を促しており、これも金相場には圧迫要因になっていると見られる。さらにトランプ次期米大統領が財務長官にムニューチン氏を指名したことで、債券相場が下落しドルが上昇したことも、金相場を押し下げているもよう。

このように、金相場には悪材料しかないのが現状であると見られる。経済指標も11月のADP民間雇用統計で雇用の伸びが予想を大幅に上回ったことや、10月の個人消費が増加しており、リスクオフには程遠い状況であると見られる。

またこの日発表された12地区連銀報告(ベージュブック)でも、10月から11月にかけて景気は引き続き拡大したことが示されるなど、利上げを後押しする材料が目白押しである。この結果、11月の下落率は8%に達したが、これは月間ベースでは13年6月以来の大幅下落となる。これらの状況が解消されない限り、金相場の重石は取れない可能性が極めて高いだろう。

非鉄相場はおおむね軟調な動き。最近の急速な上昇への警戒感から売りが出ているもよう。これまではトランプ次期米大統領が推し進めるインフラ投資が非鉄需要を拡大させるとの思惑で先行して買われてきたが、さすがに一服感が出始めていると見られる。

これまでの上昇の勢いは低下しており、米国株が下げるようだと同時に調整する可能性が高いと考えられる。

原油は急反発。10%を超える上昇となった。OPECが総会で減産合意したことが直接的な上昇の理由であろう。OPECはウィーンで総会を開催し、加盟国の生産量を日量3250万バレルまで引き下げることで合意。

合意は2017年1月から半年間有効となる。減産は08年9月の総会以来、8年ぶりとなる。現在の生産水準は日量3,364万バレル。国内情勢不安を背景に生産量が大幅に減少しているナイジェリアとリビアは減産を免除された、経済制裁からの復活を目指すイランも日量9万バレルの増産余地を得た。

一方、インドネシアは純輸入国に転じたことから、来年度はOPECへの加盟資格を失う見通しである。また増産を目論んでいたイラクも21万バレルの減産を受け入れた。今回の決定における実際の減産幅は合計で日量116.6万バレルになる。

一方、ロシアなどの非OPEC産油国にも日量60万バレルの減産を要請することも併せて決定した。ロシアは30万バレルの減産を受け入れると表明したと報じられている。また2017年度のOPEC議長はサウジのアル・ファリハ・エネルギー相が指名され、次回定例総会は17年5月25日にウィーンで開催することも併せて決定された。

今回の決定で、サウジは48.6万バレルの減産を受け入れたが、低迷する原油価格を背景に、背に腹は代えられなかったということであろう。イランは増産を勝ち取ったが、それでも経済制裁前の生産量の400~420万バレルまでの増産に抑制される。またイラクが減産を受け入れたことはある意味驚きであった。

いずれにしても、約120万バレルの減産で合意し、これを順守すれば、9月28日の非公式会合で合意した生産枠のレンジである3,250万~3,300万バレルの下限での生産となり、現行の需給緩和を大幅に解消できることになる。さらに非OPEC加盟国が60万バレルの減産を行えば、かなりの需給緩和の解消になる。

原油価格が回復する中で、米国のシェールオイルの増産が懸念されるが、価格を抑制するだけであり、そこはさすがに学習効果からどんどん増産することはないだろう。WTIは50ドルの節目まで来たが、これを明確に超えることが心理面では重要である。またドルが強すぎる状況が解消されることも、一段高には不可欠であろう。

トランプ政権の政策がドル高かあるいはドル安かによっても大きく左右されるだろう。また同政権のエネルギー政策が環境規制の緩和を謳っていることから、シェールオイルの生産コストの低下が価格面では懸念材料になろう。

増産余地が増えると需給緩和が解消されないことになるだけに、エネルギー政策の内容にも注目する必要がある。一方、過去にはOPEC合意が確実に順守されていないことから、今回も抜け駆け増産が懸念される。そのため、家屋国がどの程度厳密に生産を抑制するかを注視する必要があろう。