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金は続落し、3カ月ぶりの安値を付けている。
江守 哲
コモディティ デイリーコメント
貴金属、原油を中心とした商品(コモディティ)マーケットの要点をまとめたデイリーコメント。コモディティマーケットに精通した江守氏の鋭い着眼点に注目。

金は続落し、3カ月ぶりの安値を付けている。

2016/5/30
金は続落し、3カ月ぶりの安値を付けている。イエレンFRB議長は経済回復が続けば数カ月以内に利上げを行う可能性を示唆したため、ドルが上昇しており、引き続きドル高基調が金相場を抑える動きが続いている。
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金は続落し、3カ月ぶりの安値を付けている。イエレンFRB議長は経済回復が続けば数カ月以内に利上げを行う可能性を示唆したため、ドルが上昇しており、引き続きドル高基調が金相場を抑える動きが続いている。

イエレン議長は、「米国経済は改善を続けており、成長が回復している」と発言し、さらに「この状態が継続し、労働市場の改善が続いた場合、私はこれらが起きると期待しているが、向こう数カ月以内の利上げが適切だろう」としている。

この発言自体はタカ派とは言えないものの、利上げが迫っていると考えられよう。市場では7月利上げが妥当との見方が強まりつつあり、これを受けて金相場は上値の重い展開が続く可能性がある。

重要な節目である1,200ドルを維持できるかが、目先のポイントになるだろう。COMEX金先物での投機筋のポジションは、16万9,491枚の買い越しで、先週の22万7,651枚から大幅に減少。投機筋のポジション調整がかなり進んでいる。

非鉄はまちまちの展開。銅は上昇したが、アルミは下落し、ニッケルはほぼ横ばいだった。ただし、亜鉛と鉛は堅調に推移した。ドル高基調が続いており、これが非鉄相場全体の重石になっていると考えられよう。

また中国経済への懸念も根強く、現時点で積極的に買い上がる動きは見られない。原油相場の堅調さは支援材料だが、非鉄相場の独自材料が出てくるまでは、そう簡単には上昇しないだろう。

原油は続落。約7カ月ぶりの高値水準に上昇したことを受けて、30日のメモリアルデー(戦没者追悼記念日)の3連休を控えていることもあり、利益確定の売りが出た。

さらに50ドルを回復する動きにある中で、原油生産が増加するとの懸念も手仕舞い売りにつながった可能性がある。またドル高も圧迫要因になっている模様。

今後もFRBによる利上げ観測がドル高を誘い、これが原油相場の上値を抑える可能性がある。しかし、米国では30日を境に米国はドライブシーズン=ガソリン需要期に入る。ガソリン需要の増加と在庫の減少がみられれば、原油相場はさらに上値を試す可能性がある。

ガソリン相場がその動きを主導できるかがポイントになる。ただし、現時点ではガソリン相場の上値は重い。27日までの週の米国内の石油掘削リグ稼働数は、前週比2基減の316基となった。過去10週のうち、減少はこれで9週目となる。また09年10月以来の低水準で、1年前の646基の約半分に落ち込んだことになる。

市場では50ドル超えの水準では、新たな掘削事業の再開が加速する可能性があると指摘する声も聞かれ、今後のリグ稼働数の状況に注目しておきたい。

NYMEX・WTI原油先物の投機筋のポジションは24万1,928枚の買い越しで、先週の24万6,996枚から小幅に減少した。高値圏での利益確定売りが出ているようである。ヒーティングオイルは買い越し幅が拡大したが、ガソリンは縮小している。

6月2日にはOPEC総会が開催されるが、サウジがシェア確保を重視した高水準の生産を継続しており、総会では増産凍結などの具体策が決まる可能性は低い。イランも増産を急いでおり、増産凍結などの価格てこ入れ策を求める加盟国との溝はさらに深まることになりそうである。

サウジはOPECの中で、これまでスイングプロデューサーとしての重要な役割をはたしてきた。しかし、4月の産油国会合でそれを明確に放棄したと見られる。そのため、OPEC各国からは、OPECの機能を麻痺させたサウジの戦略転換に対する恨み節が漏れ伝わっているという。最近の米国の減産を背景に、さらに増産の勢いを強める可能性もあり、今後のサウジの産油政策の動向には要注意である。

サウジの戦略転換の背景には国内政治の大幅な転換がある。ムハンマド副皇太子が石油政策などの重要分野を掌握し、市場原理による価格決定を重視する方針に転換した。さらにイスラム教の宗派が異なるイランへの対抗意識も強く、OPECを支えるというこれまでの立場を半ば放棄した格好である。

一方でイランは核開発問題に関する欧米の経済制裁が1月に解除されたため、増産ペースを速めているもようである。17年3月までに生産量を制裁前の水準に回復させる方針を掲げており、生産調整には消極的である。

また原油価格が回復傾向にあることも、産油国が増産凍結でまとまりにくくしているようである。産油国主導での原油相場の押し上げは期待しづらいのが実態であろう。この点には注意が必要であろう。

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