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金は上昇。米雇用統計を受けて買戻しが入った。
江守 哲
コモディティ デイリーコメント
貴金属、原油を中心とした商品(コモディティ)マーケットの要点をまとめたデイリーコメント。コモディティマーケットに精通した江守氏の鋭い着眼点に注目。

金は上昇。米雇用統計を受けて買戻しが入った。

2016/5/9
金は上昇。米雇用統計を受けて買戻しが入った。4月の米雇用統計は、非農業部門就業者数が前月比16万人増と、伸び幅はこの7カ月で最低となり、市場予想の20万2,000人増も下回った。
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金は上昇。米雇用統計を受けて買戻しが入った。4月の米雇用統計は、非農業部門就業者数が前月比16万人増と、伸び幅はこの7カ月で最低となり、市場予想の20万2,000人増も下回った。

これを受けて、投資家心理が悪化し、ドルが下落する中で安全資産とされる金に買いが集まった。雇用統計を受けて、6月のFOMCでは利上げに動きづらいとの観測が強まったことも、金利がつかない資産である金の支援材料となったもよう。ただし、米国株が安値から切り返し、プラス圏で引けたことで上値は抑えられた。

COMEX金の投機筋のネットポジションは23万3,638枚の買い越しに急増している。これは2011年8月以来の高水準である。当時は欧州債務危機を背景に金融市場が混乱していた時期であり、株式から金市場に資金がシフトしていた時期である。

まさにリスク回避の投資行動がみられていたが、いまの状況でもやはり金投資を行うべきタイミングといえるだろう。貴金属市場は全般的に雇用統計の結果を受けた上昇で、トレンドを回復させつつあるように見える。

基本的なドル安基調や米利上げ観測の大幅な後退は、金を中心とした貴金属市場にとって、きわめて重要なサポート要因であると考えられる。また根本的な長期トレンドが上向いているようであり、この点に気づいていない投資家がまだ大半であろう。気付いていないうちに仕込み、歴史的な上昇相場に備えることが肝要であろう。

繰り返すように、長期的なテーマは「株安=ドル安=コモディティ高」である。その中でも、金はコモディティ高の主軸となると考えている。さらに、投機的な上昇局面になれば、金よりも銀の上昇率が大きくなる傾向がある。銀でもしっかりとポジションを持っておきたい場面ではないだろうか。

非鉄市場は小幅安の動きだった。4月の米雇用統計で非農業部門就業者数の増加幅が市場予想を大幅に下回ったことを受けてドル安が進行し、これを受けて買われる場面があった。

しかし、強気になれる内容ではなく、あくまで買戻し主導だったといえるだろう。中国の在庫増の動きもあり、現物市場でも強気な声は聞かれない。原油相場の下げ渋りがサポートしている面があろう。

ただし、この時期から非鉄相場は急激に値を上げるときがある。原油相場の動向とともに注視しておきたい。

ゴールドマン・サックス(GS)は16年の銅・アルミなどの非鉄相場が軟調に推移するとの予測を示している。中国を中心に供給が増加に転じていることを理由に挙げている。

GSは、今後3、6、12カ月の銅相場の平均をそれぞれ4,500ドル、4,200ドル、4,000ドルと予想。アルミについては同様に1,450ドル、1,400ドル、1,350ドルと予想している。この見通しはあまりに弱気すぎるだろう。最近のGSの見通しは市場に影響を与えていないとみられる。

中国の4月の輸出入は、国内外の需要が振るわなかったことから、ともに予想以上に減少した。前月はプラスに転じた輸出は前年比1.8%減で、輸入も同10.9%減となり、18カ月連続のマイナスとなった。

3月の輸出は11.5%増、輸入は7.6%減だった。1?4月の累計で見ると、輸出は前年同期比7.6%減となっている。景気減速が続く中国では、輸出の不振は中小企業を中心に製造業者の経営をさらに圧迫し、大量解雇を招きかねないとみられている。

中国当局は企業減税などを通じた景気てこ入れ策を強化すると期待が高まっている。また輸出低迷はアジア各国の貿易低迷と一致する動きとなっており、新興国経済に対する懸念が再燃する可能性がある。

また輸入が落ち込んだのは、内需の不振が大きく影響しているもよう。中国の景気減速を背景に、各国からモノを買う力が弱まっている。輸出から輸入を差し引いた4月の貿易収支は456億ドルの黒字だった中国の米国向け輸出は9.3%減で、EU向けは3.2%増だった。貿易黒字は455億6,000万ドルで、市場予想の400億ドルは上回った。

原油は3日続伸。利益確定売り一巡後は、4月の米雇用統計で非農業部門就業者数の伸びが前月から鈍化し、市場予想を大きく下回ったことを受けてドル安が進み、これが材料視された。

またカナダ産原油の供給不安も買いを誘った。カナダ西部アルバータ州のオイルサンド産地周辺で発生した大規模な森林火災による石油関連施設への影響が懸念されているもよう。

8万8,000人の住民に避難命令が出されるなど、延焼面積は拡大しており、同国の産油量の約16%に当たる少なくとも日量72万バレルの生産が停止しているもようである。

また米国内の石油掘削リグ稼働数は前週比4基減の328基となり、7週連続で減少したことも支援材料だった。水準としては、09年10月以来の低水準。

一方、ナイジェリア産油地域であるニジェールデルタのシェブロン社石油施設が武装集団に襲撃されたとの報道も下値を支えたようだ。最近の原油相場は、世界的な供給過剰の解消が具体的に進まない中でも下げ渋っている。この事実に目を向けるべきであろう。

WTI先物のネットロングポジションは23万6,789枚に小幅減少。ロングポジションの減少がそのまま影響したといえる。ただし、投機筋の強気スタンスには変わりない。

一方、ロシアのペスコフ大統領報道官は、主要産油国との増産凍結交渉について「もう一度、最初からやり直す必要がある」との認識を示している。ロシアやサウジアラビアなどの主要産油国は4月17日にカタールの首都ドーハで開催した会合で、原油価格の底上げを狙った増産凍結で合意できなかった。

同大統領報道官は「最近の失敗を受け、交渉を最初からやり直す必要がある」としている。その上で、「現時点でボールは我々ではなく、交渉相手側にある」としている。増産凍結に向けた話し合いが進展しない可能性もあるが、そんな中でも原油相場は下げない。

この動きを素直に捉えるべきなのかもしれない。上値はやや重くなっているが、少なくともトレンドはまだ崩れていないと認識している。現状で原油相場の見方を変える理由は見当たらない。米国内の産油量の減少に着目する動きがいずれ強まると考えている。

一方、サウジアラビアのサルマン国王は政令を発表し、長年にわたり同国の石油政策を指揮してきたヌアイミ石油鉱物資源相を退任させた。後任にはファリハ保健相を起用する方針である。サウジは国王の息子であるムハンマド副皇太子が、石油に依存した経済構造からの脱却を図っており、今回の人事もその一環とみられている。ヌアイミ氏は実質的に更迭された可能性があるが、いずれにしても、サウジが脱石油に本格的に乗り出したことだけは確かである。今後の産油政策の動向を注視していく必要があるだろう。

一方、中国の、4月の原油輸入は3,258万トンと前年同月比7.6%増加。同国政府が昨年から20以上の小規模な独立系製油業者にライセンスを付与したことで輸入が増えたとみられている。1?4月の原油輸入は1億2,370万トン(日量746万バレル相当)で、前年同期比11.8%増となった。

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